2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26350988
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
石川 淳子 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30570808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美津島 大 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70264603)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バースト発火 / リップル様イベント |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、平成26年度まで行っていた異性、同性、新規オブジェクトとの接触エピソードに加えて、拘束ストレスエピソード前、中、後の海馬CA1ニューロンの神経活動の解析を行った。異性との接触と拘束ストレスでは、エピソード中からバースト発火が何度も認められ、それに引き続きリップル様イベントの頻度が増加した。異性との接触と拘束ストレスでは、バースト発火が起きるタイミング、頻度、持続時間、リップル様イベントが高頻度に発生するタイミングに差があった。また、バースト発火の発生頻度とリップル様イベントの増加率、バースト発火の持続時間とリップルの増加率に相関があったため、バースト発火がリップル様イベント形成を誘発していると推測される。さらに、リップル様イベントの大きさ、形、周波数はエピソード前後で異なっていた。リップルには記憶情報が含まれるとの仮説を立てて、今後はリップル波形の解析を行う。 情動の中枢である扁桃体の不活性化による海馬CA1ニューロンの神経活動記録を計画していたが、両脳領域の前後、左右軸が近いため、従来使用していた薬物投与用のガイドカニューラと神経活動記録電極の埋め込みが困難であった。現在、手術法と記録電極の改良を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、平成26年度からの課題であった負の情動性エピソードの実験を進めることができた。扁桃体の不活性化による海馬CA1の神経活動への影響は、技術的問題から計画どおり進んでいないが、エピソードによる海馬CA1神経活動特性について多くの発見があった。これらの神経活動特性は学習のメカニズム解明に重要なものであると考えており、今後、更なる解析を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
扁桃体と海馬CA1へのガイドカニューラと記録電極の埋め込み手術法と記録電極の改良を行い、前頭前野、扁桃体、海馬の1領域を不活性化して、他の2領域の神経活動特性がどのように変化するかを検討する。また、エピソード前後で変化するリップル波形の解析法の確立と解析を行う。エピソード後には海馬CA1ニューロンの興奮性シナプス後電位が増えるだけでなく抑制性シナプス後電位も増加していた。この現象にどのような意味があるのかを確かめるため、エピソード過程で抑制性のものによる現象がないかを調べる。
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Causes of Carryover |
本研究では、実験遂行状況に応じて物品を購入している。このため、本年度の研究はおおむね順調に遂行したが、少額の次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後も、研究計画を遂行しながら、実験遂行状況に応じて随時物品を購入する。
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Research Products
(2 results)