2015 Fiscal Year Research-status Report
記憶・推論に及ぼす内受容感覚の影響-認知神経科学・加齢研究からのアプローチ
Project/Area Number |
26350990
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
寺澤 悠理 慶應義塾大学, 文学部, 助教 (30585790)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 内受容感覚 / 感情 / 認知機能 / 脳損傷 / 島皮質 / 加齢 |
Outline of Annual Research Achievements |
身体内部環境の受容によってもたらされる内受容感覚は、人間の感情経験のメカニズムを解き明かすための鍵となる概念であることが示唆され、その神経基盤として島皮質の重要性が強調されてきた。その一方で、島皮質は記憶などの様々な認知機能との関連も指摘されているが、これらの認知機能とどのように関連しているのかについては、ほとんど検討されていない。本研究では、内受容感覚の鋭敏さ、種々の認知機能のパフォーマンス、感情認識能力、これらを支える神経基盤について検証し、記憶や推論といった認知機能の成り立ちを心・脳・身体の総体として理解し、感情経験のメカニズムとの相違性を検討することを目的とした。 初年度に研究環境の整備を行い、2年度目である本年度は、健常高齢者を対象として内受容感覚の鋭敏さ、感情認識能力、種々の認知機能を調べ、彼らの脳機能画像および構造画像の撮像を行った。初年度に継続して、島皮質などの局所脳損傷例を対象とした神経心理研究も実施し、健常者との比較を行った。この結果、健常高齢者においても、若年者と同様に感情認識能力と内受容感覚の鋭敏さに密接な関係があることがわかったが、その関連の仕方は、若年者と同一ではない傾向もみられることがわかった。またこの二つの関連性をある種の認知機能が介在している可能性も示唆された。 実験は継続しており、データも解析中ではあるが、その成果の一部は国際論文として発表した。 また国内外の学会でも成果の発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、高齢者を対象とした行動実験、脳機能画像研究が行い、並行して脳損傷例を対象とした研究も行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
健常高齢者を対象とした行動データ、脳画像データの取得が順調に行われている。 今年度は、これらのデータを統合的に解析し、内受容感覚が種々の認知機能とどのように関連しているのかについて検討する。
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Causes of Carryover |
計画していた国内出張が中止となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に当該出張を行う。 残額が生じた場合は、実験のための施設利用料や実験環境整備のために使用する。
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[Journal Article] Fear conditioning induced by interpersonal conflicts in healthy individuals.2015
Author(s)
Tada, M., Uchida, H.,, Maeda, T., Konishi, M., Umeda, S., Terasawa, Y., Nakajima, S., Mimura, M., Miyazaki, T., & Takahashi, T.
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Journal Title
PLOS ONE
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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