2015 Fiscal Year Research-status Report
パプアニューギニアにおける2つの天然資源開発地における社会変化の類似点と相違点
Project/Area Number |
26360004
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
田所 聖志 秋田大学, 国際資源学部, 准教授 (80440204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅崎 昌裕 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30292725)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 現地調査 / 天然ガス開発地 / 土地保有集団 / 栄養転換 / 共同研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者の田所は、本年度は、関連する先行研究の文献研究を進めると共に、前年度に予備調査を実施したパプアニューギニアのタリ人社会において民族誌調査を実施し、天然ガス開発が行われている地域社会の人々の語りを収集するとともに、人々の栄養転換調査を目的とした食事摂取量に関する質問紙調査を実施した。さらに、収集した人々の語りに関するデータの整理・分析を進めた。質問紙調査による食事摂取量データに関しては、入力作業が終了した。 研究分担者の梅崎は、本年度は、関連する先行研究の文献研究を進めると共に、田所の収集した食事摂取量データについての分析を行った。 田所と梅崎は、天然ガス開発地の人々の栄養転換に関する研究をポスター発表した。また、ニューギニアの食生活と社会変化に関連した研究論文を発表した。 本研究の目的は、急激な社会変化を経験した地域社会の人々が、どのような社会・環境の変化を経験し、その変化をどのように捉えているのかを明らかにすることである。本年度、国際学会発表という形で公表した天然ガス開発地での栄養転換についての詳細な事例研究は、人々が経験した社会変化の客観的な指標を用いた把握を試みたものと言える。今後は、この研究を国際誌への投稿論文へと仕上げていきたい。 また、現在整理中の天然ガス開発地の人々の語りに関する分析は、我が国におけるエネルギー資源の持続性に関する議論においても、エネルギー供給地で暮らす人々の声を分析対象とする点で意義あるものと思われる。なぜなら、本研究で事例対象としているパプアニューギニアの天然ガス開発地は、世界でも有数の大規模天然ガス開発地であるものの、こうした大規模な天然ガス開発地における現地調査に基づいた研究は文化人類学の分野では数少ないからである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査計画の年度計画では、(1)研究の理論的枠組みに関する検討を行うと共に、(2)テワーダ人社会での民族誌調査の実施と、(3)調査計画の取りまとめを予定していた。 (1)に関してはおおむね順調に進展している。研究代表者の田所は、東京大学で資料収集を行うと共に、分担者の梅崎とアイディアの交換を重ね、理論的枠組みに関する検討を数度にわたって行った。(2)に関しては、テワーダ人社会に替え、フリ人社会での民族誌調査を実施することに計画を修正した。前年度に予備調査を終えたフリ人社会での追加の民族誌調査の実施が必要であると判断したためである。ただし、フリ人社会において天然ガス開発の影響を受けていない村落を、開発の影響を受けていない地域の代表地として新たに調査対象に加えた。この選択は、テワーダ人社会での現地調査の未実施を補うものである。とはいえ、テワーダ人社会での調査に踏み込めなかったことから、この点について、やや遅れていると判断できる。(3)に関しては、食事摂取量データの入力・解析が順調に進んでおり、人々の語りの整理・分析も順次進展していることから、おおむね順調に進展していると判断できる。 以上から、研究の自己点検による評価においては「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの到達度」で自己評価したように、平成27年度中にはテワーダ人社会での現地調査に踏み込むことができなかった。ただし、フリ人社会のなかで天然ガス開発の影響を受けていない村落を、開発の影響を受けていない地域の代表地として新たに調査対象に加えた。今後は、この村落と、天然ガス開発の影響を受けた村落とを比較することを念頭に置いた現地調査活動を実施する。新たな研究調査地の追加は、本研究の研究計画の変更である。このことによって、森林資源開発が行われているテワーダ人社会での現地調査に費やせる時間的制約が生じてしまう。そのため、テワーダ社会での現地調査は、今後のデータ整理状況を勘案しながら検討する。 また昨年度までにある程度の量のデータ収集を行うことができたため、今後は、分析結果を論文としてまとめる作業をさらに進め、公刊に向けた努力をする。
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Causes of Carryover |
本年度、当初予定していた必要な文具の購入にあたり、本年度分は十分であったため、若干の額を翌年度に繰り越しました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に必要な文具購入費に充当いたします。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Reduced morning cortisol level in saliva associated with obesity: Evidence from community-dwelling adults in Papua New Guinea.2016
Author(s)
Morita A, Natsuhara K, Vengiau G, Chen CCJ, Odani S, Inaoka T, Tadokoro K, Suda K, Furusawa T, Siba P, Phuanukoonnon S, Umezaki M.
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Journal Title
American Journal of Human Biology
Volume: .
Pages: .
DOI
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[Journal Article] Association between sex inequality in animal protein intake and economic development in the Papua New Guinea Highlands: the carbon and nitrogen isotopic composition of scalp hair and fingernail.2016
Author(s)
Umezaki M, Naito IY, Tsutaya T, Baba J, Tadokoro K, Odani S, Morita A, Natsuhara K, Phuanukoonnon S, Vengiau G, Siba MP, Yoneda M.
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Journal Title
American Journal of Physical Anthropology
Volume: 159
Pages: 164-173
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Association of protein intakes and variation of diet-scalp hair nitrogen isotopic discrimination factor in Papua New Guinea Highlanders.2015
Author(s)
Naito Y, Morita A, Natsuhara K, Tadokoro K, Baba J, Odani S, Tomitsuka E, Igai K, Tsutaya T, Yoneda M, Greenhill A, Horwood P, Kevin S, Phuanukoonnon S, Siba P, Umezaki M.
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Journal Title
American Journal of Physical Anthropology
Volume: 158
Pages: 359-370
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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