2014 Fiscal Year Research-status Report
マレーシアにおける経済構造の変容とポリティカル・エコノミーの地域間比較
Project/Area Number |
26360007
|
Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
河野 元子 政策研究大学院大学, 政策研究科, 研究助手 (80552017)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | ポリティカル・エコノミー / 新興国 / マレーシア / 経済危機 / 中所得国の罠 / 輸出志向製造業型発展 / 自然資源型発展 / 政治発展 |
Outline of Annual Research Achievements |
マレーシアは、政府主導の開発戦略で著しい経済発展を遂げたが、先進国入りを前に「中所得国の罠」、国内格差、社会保障など山積みの政治的課題に苦闘している。問題解決のための新しい経済発展のシナリオづくりに向けては、社会の構成員間の社会的政治的調整の現状把握、すなわち統合的なポリティカル・エコノミーによる分析が重要と考える。この視座に基づいて、本研究では、2つの地域(高開発地域のペナン州と低開発地域のトレンガヌ州)の比較より、マレーシアの経済構造の具体的な変化の把握、一方で、地域・産業の格差の実態、そこでの社会経済的調整の現状を明らかにすること、その結果より、マレーシアが中所得国から脱出するための最重要かつ自助努力で為すことができうる政策課題を模索することを目的とする。 平成26年度においては、日本国内においてマレーシアおよび新興国に関するポリティカル・エコノミー関係の文献サーベイを広く実施した。 これまで蓄積のあるトレンガヌ州においては、文献補充調査と農業部門の基本的データについて調査を行った。 他方、本格的調査ははじめてのペナンにおいては、まず予備調査を行うとともに、経済発展の形成と展開、行政の展開に関する基本情報の収集につとめた。さらに、製造業部門についてのこれまでの動向と地方政府の対応について、開発行政機関、図書館において資料収集を行った。また、ペナン経済開発センター主導で促進された同地の経済開発の形成、推移および政府交替にともなう影響に関して予備的な調査を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文献調査およびマレーシアでの現地調査はおおむね予定通り進んでいるが、植民地時代の経済発展に関するイギリスでの文献調査が、準備が整わず行うことができなかったため、達成度はやや遅れているとした。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、前年度に引き続き、本年度の現地調査内容としてあげる小生産者への分配に関する先行研究においてマレーシア、新興国について、また日本など先進国の研究について文献サーベイを行う。 ペナン州、トレンガヌ州両地域において、農漁業にかかわる農民、自営業、中小企業などの小生産者が、産業構造の変化のなかで、いかに対応してきたのか。中央・地方政府はいかなる政治的調整をおこなってきたのか、小生産者への分配の政治と、それが内需に与えた影響および財政に与えた影響を中心に政治家・行政官および住民のインタビューを行うとともに、経済開発局はじめの行政機関、図書館において資料収集を行う。 ペナン州においては、昨年に引き続き経済開発の形成、推移および政府交替にともなう影響に関して文献調査およびインタビュー調査を続行する。さらに製造業部門の労使関係および社会福祉に関する調査を手掛ける。 昨年度行うことができなかったイギリスでの文献調査を行う。
|
Causes of Carryover |
経済構造の形成・発展を把握するために、英国オックスフォードのボードリアン図書館、国立公文書館において植民地時代の行政資料および商社の経済活動に関する資料を収集を予定していたが、事前の準備が整わず、調査を断念せざるを得なかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度行う予定であったイギリスでの文献調査を平成27年度に行うこととする。
|