2015 Fiscal Year Research-status Report
インドにおける「非エリート高等教育機関」の調査研究
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26360013
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐々木 宏 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (50322780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
針塚 瑞樹 別府大学, 文学部, 講師 (70628271)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 南アジア / インド / 高等教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、インドの経済発展と公正な社会づくりの鍵を握っていると目されつつも、これまでほとんど実証研究の対象となっていなかった「非エリート高等教育機関」の実情について、インド政府が整備・公開中の高等教育機関データベース(All India Survey on Higher Education:AISHE)のデータ分析とフィールド調査を通じて明らかにすることをねらっている。上記の目的に即して、本年度は26年度に引き続きAISHEのデータ分析、デリーとウッタル・プラデーシュ(UP)州Varanasiにおけるフィールド調査を実施した。
AISHEのデータ分析は、最新のAISHE2013-14(調査対象年次は2013年)を使った全インドレベルでの高等教育の現状分析とAISHE2011-12から三か年分の累積データを使った県レベル(UP州Varanasi県)の高等教育の現状と発展動向の分析をした。前者では、26年度に実施したAISHE2011-12の分析と同様の結果が明らかとなった。後者ではVaranasi県における高等教育の現状とインド独立直後から現在までの発展にかかわる新知見が明らかとなった。その新知見とは、高等教育の機会が近年(2000年代以降)、農村住民や女性対象のものも含め爆発的に拡大していること、かつて「公」中心であった機会供給の担い手が近年「私」へシフトしていること、近年の教育機会の拡大は専門職養成の高等教育の拡大を伴っていること、などである。
フィールド調査は、デリーでは他州で大学院教育を修了したが就職できずデリーで再び高等教育を受けている若者たちの生活調査と大学の機関調査、Varanasiでは26年度からの若者調査を継続した。いずれの調査でも、非エリート高等教育機関と労働市場の接合の不具合が明らかとなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度中の「研究組織の改組」を理由した研究進捗の遅れは、27年度中におおむね取り戻すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度中に研究進捗の遅れを取り戻したので、28年度は当初の計画通り研究を推進する。
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Causes of Carryover |
2016年3月に予定していたVaranasi調査が都合によりキャンセルとなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
3月にキャンセルとなった調査を8月に実施する。
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