2014 Fiscal Year Research-status Report
東アジアにおける戦間期の秩序とソ連の極東政策:外交官と軍部、中央と地方
Project/Area Number |
26360020
|
Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
シュラトフ ヤロスラブ 広島市立大学, 国際学部, 講師 (30726807)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 日露・日ソ関係 / 外交史 / 軍事史 / アジア研究 / 一次史料調査 / 国際学会 / 国際情報交換 / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度から本研究に取り組み、研究実施計画に基づいて、国内外において積極的に国際学会に参加し、資料調査を行いながら、研究成果の発表に努めた。2014年6月、東京で開催されたアジア研究学会(ASCJ)の大会と来日ロシア人研究会にコメンテーターと発表者として参加し、日本外交資料館で調査を行った。8月に、他の研究者と一緒に企画したパネルをヨーロッパ最大級の日本研究学会(EAJS)の大会で実施した。その後、9月中にロシア(モスクワ)で資料調査を行い、ロシア連邦外交文書館(AVP RF)とロシア国立軍事文書館(RGVA)において極めて貴重な未公開の史料層を発掘した。史料は多量あったのでその処理が想像した以上に時間がかかった。このため、2015年3月、再びこれらの資料館を訪れ、引き続き調査を行った。 2014年11月、国内外の研究者と一緒に企画したパネルを北米のスラヴ・ユーラシア学会(ASEEES)で実施して、“Ideology and Pragmatism in the Soviet Far Eastern Policy”という報告を行なった。翌12月、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター主催の冬期国際シンポジウムにおいてパネル“Making a New Order in Eurasia: Soviet Interwar Diplomacy Seen from Inside and Outside”を組織して、“Soviet Russia at the Far East: New and Old Approaches in Foreign Policy”という報告を行った。 学会報告を行いながら、研究成果を論文として発表するにも努めた。2014年秋、ロシアの学術雑誌で2本の論文を刊行し、ロシアで出版される教科書「日本史」において20世紀前半を担当するようになった。さらに、日本語で「1920年半ばにおける日ソ関係」という論文の執筆に着手した。 欧米とロシア滞在中に、アメリカやドイツ、ロシア各地の大学及び研究所の教員や研究員、幅広い分野の専門家と積極的に面談を重ね、意見交換を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
以上のように、代表は旺盛な史料調査と実施し、研究実施計画のとおりにソ連の極東政策に関わった各アクターの政策概念を明らかにしながら、東アジア情勢の変動に対する共産党、外務人民委員部や軍部の見解を追究してきた。特に外務人民委員及びアジア各地に駐留していた外交官の書簡、赤軍(特別赤旗極東軍、ブリューヘル司令官など)に関する文書群を閲覧できて、極めて貴重な史料を入手しながら、今後の調査のための基盤を作った。政治局関連資料を調査する課題は残るものの、外交研究と軍事研究の座標軸を設定する目的を達成し、次の課題に結びつける重大な資料を発掘している。 また、研究期間を通して、欧米やロシア、国内外において複数の研究報告を行い、早期に研究成果の発表に成功している。また、日本・ロシア・北米・ヨーロッパの研究者と協力体制を構築し、国内外の研究ネットワークを積極的に発展させている。この結果、国内外において新たな研究発表の環境ができて、文字通り国際的な研究が進行することが期待される。
|
Strategy for Future Research Activity |
2015年度は、研究計画のとおり、8月に幕張で開催される国際中東欧研究学会(ICCEES)の世界大会において、戦間期の東アジアにおけるソ連外交政策などに関する幾つかのパネル及びラウンド・テーブルを組織しており、口頭発表を行う予定である。また、7月末に北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターで学術会議を開催して研究報告をする予定である。それ以外にも、国内外において日本語・英語・ロシア語にて発表を行う機会を作り、原稿を執筆して、引き続き研究成果をアッピールしたい。 一次資料の調査は以前として積極的に行う予定であるが、当初の計画を若干変更し、ロシア極東の代わりに改めてモスクワを中心として作業が行われることになる。とりわけ、東アジアの国際情勢に対するソ連極東における各機関の立場よりも、政治局及び外務人民委員部、赤軍首脳部の立場に焦点を当てたいと思っている。その理由は、1)比較的に閉鎖性が高いロシア連邦外交文書館(AVP RF)とロシア国立軍事文書館(RGVA)における調査は予想以上の成果があり、当初の計画より1年早く追加調査を行う価値がある;2)政治局関連資料を収集するのに、同じくモスクワのロシア国立社会政治史文書館(RGASPI)における調査が必要になる;3)本年度に調査する予定であったハバロフスク地方資料館(GAKhK)修理中のためにフォンドへのアクセスが制限されている情報がある。以上のため、2015年度の調査は日本(特に外交史料館)、そしてモスクワ及びサンクト・ペテルブルグを中心に行う予定である。
|
Research Products
(6 results)