2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26360024
|
Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
ボルジギン 呼斯勒 昭和女子大学, 人間文化学部, 准教授 (40600193)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 抑留 / モンゴル / ノモンハン / 東アジア国際関係 / 国際情報交換 / ロシア:台湾:日本 / モンゴル公文書館 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ノモンハン事件(ハルハ河戦争)及び第二次世界大戦終結後に際して、モンゴルに抑留された日本人に焦点をあて、抑留にいたるまでのプロセス、収容所群の組織や管理システム、抑留者の生活・労働の状況、帰還をめぐる国際関係と政治過程を総合的に分析し、その全体像を明らかにすることを目的とする。また、抑留者にとって、「モンゴル抑留」はどのような意味をもつのか、モンゴルの国民はどのように日本人の抑留をみているかも検討する。2014年度は初年度として、モンゴル・ロシア・台湾出張により、当地公文書館で抑留関連の文書を収集した。これらの現地調査によって、抑留者たちが書いた嘆願書や「刑期をおえた戦犯のすみやかな釈放の可能性に関するマッカーサー将軍の回状についてのアメリカ政府への覚書案の承認に関するソ連外務省の質問」などの機密資料を発見したのみならず、日本人のモンゴル抑留とかかわる史料群の状況を知ることができた。また、海外の研究者と意見を交換することができ、新たな知見を得ることができた。そのうえで、論文「日本人のモンゴル抑留についての基礎的研究」などを執筆し、2014年8月に第2回アジア未来会議と第3回日本モンゴル青年フォーラム「日本とモンゴル――過去から未来へ」で発表した。 主に、第二次世界大戦終結後の日本人のモンゴル抑留にいたるまでのプロセス、抑留者の生活・労働の状況、嘆願活動などが明らかになった。また、モンゴルにおける長期抑留者の送還(1954~55年)をめぐる国際関係を考察し、引揚をめぐる日モ交渉のプロセスの一部を解きあかした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年にロシアで実施した予備調査では、ロシア連邦の諸文書館のシステムや史料の所在などをある程度確認でき、さらに2013年までにモンゴルと台湾で実施した予備調査によって、当地の各文書館、研究者と協力関係をむすび、本研究の資料調査の基礎をつくった。そのため、2014年度には、関係諸国、諸地域での調査を順調にすすめることができ、とりわけモンゴル、台湾での調査では、予想をこえた重要な史料を発見し、収集することができた。また、日本、モンゴル、ロシアなどの研究者と意見を交換することができた。さらに、論文2本を執筆し、2つの国際会議で研究成果を発表したので、研究計画を予定通り実施することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、これまで見つかった資料を突破口として、モンゴル、ロシア、台湾に加えて、中国の公文書館での調査を徹底し、日本人捕虜だけではなく、捕虜になった内モンゴル人も視野に入れ、研究していきたい。 2015年度には、ひきつづき、モンゴル、ロシア、台湾、中国で資料調査を実施するほか、モンゴル国ウランバートル大学のダシダワー教授、ロシア科学アカデミーのバザロフ教授などの協力を得て、当時のことを知るモンゴル、ロシアの外務省や軍の関係者、及び収容所の管理者などから聞き取り調査をも行う。また、これまで収集したオリジナル史料と、日本、モンゴル、ロシアで出版された各種の資料集と研究書、体験記をつきあわせることによって、公式的イデオロギーのフィルターをとりはずし、1945年10月以降にモンゴルに抑留された日本人の全貌を明らかにし、課題の達成につとめる。その上で、論文「日本人抑留者の帰還をめぐる国際関係についての一考察」などを執筆する。さらにモンゴル国家文書管理局や科学アカデミー等の研究者を招いて、ウランバートルでワークショップを行い、各国の同分野の代表的な研究者と意見を交換し、最新の研究成果を発表する。
|