2015 Fiscal Year Research-status Report
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26360024
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
ボルジギン 呼斯勒 昭和女子大学, 人間文化学部, 准教授 (40600193)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 抑留 / モンゴル / ノモンハン / 内モンゴル / 国際関係 / 捕虜 / ロシア / 満洲国 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は、研究テーマにかかわる研究基盤の強化につとめた。研究代表者は、モンゴル、ロシア、中国の諸文書館で資料を収集したほか、モンゴルのトゥブ県やセレンゲ県及びロシアのブリヤート共和国などの旧日本人抑留者収容所やかれらが労役に従事した場所で現地調査を行った。この調査では、日本人が抑留されたルートや収容の状況などについて、当時のことを知るモンゴル外務省や軍の関係者、ならびに収容所の管理者等の聞き取り調査も実施し、さらに「1945年の戦争でつかまった日本軍捕虜、及び死亡者について」「ウランバートル市建設における日本軍捕虜」などの極秘資料を発見した。また、ウランバートルでおこなった第8回日モ国際シンポジウムで、G. ミャグマルサムボーなどモンゴルと日本の研究者4名がそれまでの研究成果を発表した。これらの調査とシンポジウム開催時に、B. V. バザロフなどロシアとモンゴルにおけるこの分野の代表的な研究者と意見交換をした。さらに、論文「日本人抑留者の帰還をめぐる国際関係についての一考察」(『学苑』895号)と「満洲国人のソ連抑留と中国への移送についての考察:溥儀を中心に」(『日モ関係の歴史、現状と展望』風響社、2016年)を発表した。これらを通して、日本・ソ連・アメリカの三国関係の文脈を超えて、内モンゴル人の視点から満洲国史と「抑留の歴史」を検証し再構成することの意義が大変大きいものであることが確認されたと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年度には、関係諸国、諸地域での調査を順調にすすめることができ、とりわけモンゴル、ロシアでの調査では、予想をこえた重要史料を発見し収集することができた。また、同分野における日本、モンゴル、ロシアの代表的な研究者と意見・情報・成果を交換し、今後の研究協力体制を構築できた。さらに、研究成果として論文2本が刊行され、国際会議で本研究の成果を検証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、引き続きモンゴルとロシアでの現地調査を徹底し、文献だけではなく、日本人及び「日本の手先」とされた内モンゴル人のモンゴル抑留に関する証言を収集する。そのうえで、歴史的文脈のなかで日本人のモンゴル抑留を北東アジア地域における多国間の力関係によって把握し、研究を深化させてその全体像を明らかにしたい。具体的には論文「1945年の日本人のモンゴルへの移送」「“日本の手先”とされた内モンゴル人のシベリア抑留」などを執筆する。東京で、日本、モンゴル、ロシアの連携研究者、研究協力者6名を招いて、シンポジウム「日本人のモンゴル抑留とその背景」を開催し、研究成果を発表する。極めて必要度が高いにもかかわらず、いまだ、ロシアでもモンゴルでもおこなわれていないこのシンポジウムには、国際的にも熱い視線が注がれるものと予想される。
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Research Products
(3 results)