2014 Fiscal Year Research-status Report
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26360026
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
中野 亜里 大東文化大学, 国際関係学部, 教授 (60188993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村尾 智 独立行政法人産業技術総合研究所, 地圏資源環境研究部門, 研究員 (10358145)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 環境ガバナンス / 資源開発 / 市民社会 / 市場経済移行国 / ベトナム / ボーキサイト / ミャンマー |
Outline of Annual Research Achievements |
アジア諸国の資源開発に関するガバナンスの具体的なモデルについて情報を得るため、環境ガバナンスやリスクマネジメントの専門家を招聘し、2度のコロキアムを企画した。第1回目は平成26年6月28日に「アジア市場経済移行国における鉱物資源開発のガバナンスはいかにあるべきか」と題して、研究代表者・研究分担者のほか、東京大学、国際協力機構(JICA)の専門家の研究報告を実施した。駐日モンゴル国大使館一等書記官の参加も得て、情報交換と討論を行なった。第2回目は平成27年3月13日に「アジアの環境ガバナンスと市民の役割」と題し、研究分担者のほか、上智大学の研究者によるミャンマーの事例報告、早稲田大学の研究者によるメコン開発の事例報告を実施し、情報・意見交換を行なった。 現地調査としては、平成26年9月1~8日にベトナムのボーキサイト開発現場の追加調査を実施した。開発現場住民が受けつつある環境被害の現状、都市部知識人と現場住民の情報・意識の格差などが確認できた。また、現場で発生した事故から、環境リスク情報の信頼性にも問題があることが明らかになった。 平成26年10月18日に行なわれたアジア政経学会東日本大会において、「アジアの資源開発におけるガバナンスのあり方~市場経済移行国における現状と今後の課題~」と題する分科会を企画し、現地調査の結果を報告した。同分科会では、東京大学、JICAなどの専門家を報告者・討論者として招聘し、科学的データによるリスク評価の方法、それに基づくガバナンスのあり方について研究発表と討論を行なった。この分科会の成果の論文は、同学会の機関紙『アジア研究』において特集として掲載された。 また、平成26年11月28日の第24回環境地質学シンポジウムにおいて、研究代表者と研究分担者により、「鉱山の導入と地元のメリット」と題し、ベトナムのボーキサイト開発現場の最新事情を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベトナムのボーキサイト開発については、現地調査による追加情報の収集がほぼ計画通り進んだ。現地調査の成果は、各学会や研究会の場で社会に還元している。平成26年度は、資源開発と環境をめぐるガバナンスのあり方について、各方面の専門家との情報交換を行なった。その結果、科学技術を用いたリスクの調査とリスク評価の方法、またそのデータを政策決定者にいかに伝えるか、開発地域の市民団体の役割、などについて情報を得ることができた。平成27年度は、ミャンマーの開発とガバナンスについて情報収集を継続する予定であり、そのために開発現場の住民組織や、それを支援する市民団体との連絡をとっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、ひき続きベトナムの大規模資源開発と環境問題、およびそれらに対する市民の活動について追加情報を収集する。同時に、ミャンマーの資源開発と環境問題、市民団体によるボトムアップの異議申し立てについても、具体的な事例研究を進め、良きガバナンスのモデルを追究してゆく。それらの成果を踏まえ、平成28年初めには国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)と合同のワークショップを企画し、研究成果の報告と情報交換を図りたい。
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Causes of Carryover |
ベトナムで収集したボーキサイト開発に関する一次資料について、翻訳業者に要約を依頼し、日本語版の資料を作成してもらう計画であったが、当該業者の急病のため契約を取り消した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、ベトナムに関する追加の一次資料の収集と、ミャンマーの市民団体との連絡、および同国の資料収集のために支出する。また、学会でのポスター発表の制作費にも一部を支出する。
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