2016 Fiscal Year Research-status Report
ヒンディー語雑誌におけるインド近代表象とその歴史的変容
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26360032
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
小松 久恵 追手門学院大学, 国際教養学部, 講師 (80552306)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 近代インド / 雑誌 / ヒンディー文学 / データベース / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. ネルー記念図書館(デリー)、ヒンディー文学協会(アラーハーバード)にてこれまでの文献調査の補足を行った。 2.現地研究者ならびに海外のインド文学研究者複数名と以下の4点に関する情報・意見交換を行った。①雑誌所蔵先とその保管状態 ②欧米諸国での近代インド雑誌関連研究動向 ③ヒンディー女性文学 ④インド女性問題全般 ①に関してはアラーハーバードにおいて、ヒンディー雑誌の電子化を進めようという計画が立ち上がっていることが判明した。在野の文学者による発案ということで、大学や研究所を介さずにいかに効率的な協力体制を築き上げていくことができるのかが今後の課題となった。②に関しては、国際学会において複数の研究者と交流し、各国で雑誌研究が注目されつつある現状を目の当たりにした。学会での発表原稿をもとに、各国の研究者で出版計画を進めている。同学会では③に関する女性研究者(特に東欧・英国在住者)との交流から、共同研究の可能性が濃厚になった。また③ならびに④に関しては女性問題を主題とするヒンディー作家、Alpana Mishra氏を再訪し、現代インドの女性問題ならびにヒンディー文学、女性作家をめぐる様々な現状、動向に関して広く意見交換を行った。その成果として、来年度出版予定の「ジェンダーハンドブック」でのヒンディー女性文学関連項目の執筆やMishra氏の作品「自由への執着」の翻訳、解題へとつながった。 3.国際学会(ヨーロッパ南アジア学会)において近代女性雑誌の読者投稿を主題とする発表を行い、当時の読者層の分析ならびに雑誌ごとの特徴を提示した。この成果は28年度中に英語で出版予定。また他科研と共同で国際学会(アメリカ南アジア学会)に参加、自伝をもとに近代インド女性の「自己表象」の分析を提示した。この成果は28年度中に英語出版の予定。 4.デジタルカメラで収集した画像の整理を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
1. 一次資料とする1910年代から40年代に発行されたヒンディー語雑誌が非常に劣悪な所蔵状態にあり、撮影処理に想像以上に時間がかかった。 2.予期しない休館日や図書館員の欠勤・不手際、頻発する停電などで、地方図書館での作業が想像以上にすすまなかった。 3. 2016年7月に参加した国際学会での発表原稿をもとに、英国にて出版計画が持ち上がっている。しかし複数国の研究者による共同作業のため、連絡が滞りがちで時間がかかっている。 4.所蔵する資料をデータから紙媒体には変更したが、そこからの整理が不十分である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度中に充実した報告書が作成できるよう、以下の3点に留意する。 1.これまでに収集した資料の整理を第一とする。出力されたものを整理し、データベー スを作成する。 2.出版に向けて学会発表原稿に加筆し、ネイティブチェックを依頼する。 3.地方図書館(アラーハーバードとジャイプル)で欠落号の所蔵確認を行う。
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Causes of Carryover |
1.国際学会に参加した際、学内の海外発表支援助成金を得ることができたため。 2.学内業務などのため、インド現地調査が予定していた期間よりも短期間となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1. インド現地調査(2週間程度) 2. 出張用のノート型パソコン購入 3. 画像撮影のためのコンパクトデジカメ購入
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