2014 Fiscal Year Research-status Report
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26360045
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
ESSERTIER Joseph 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70589283)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 言文一致体 / 女権論 / リテラシー / 読み書き能力 / フェミニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は、言文一致運動の歴史を研究し、以下の3本の論文にまとめ、英語圏の研究者のために1作品の翻訳をおこなった。 1.A Pioneering Feminist with a Pioneering Writing Style: Shimizu Shikin's "Broken Ring" (Koware yubiwa, 1891), New Directions, 2015年3月31日。言文一致運動をジェンダーの面からとらえる目的として清水紫琴の画期的な口頭文体(「会話文」)と女権論思想について論じた。 2.Shimizu Shikin's "Broken Ring" (Koware yubiwa, 1891) , New Directions, 2015年3月31日。清水紫琴の女権論を表すパイオニア的な短編小説「こわれ指輪」を翻訳した。 3. The Impact of Colloquial Writing by Japanese Women Writers in the 1890s, 口頭発表, International Seminar on Comparative Literature and Translation Studies, Jadavpur University, Kolkata, India, 2015年1月4日。明治中期ほど早く女権論を主張した女性小説家清水紫琴の「こわれ指輪」は国際的な意義があると口頭発表で議論した。 4. 「必要は発明の母:清水紫琴の短編小説「こわれ指環」の革命的談話体と明治期女性読者層の識字能力」、口頭発表、第14回情報保障研究会、2015年3月28日、名古屋市。情報保障とリテラシーの運動史の中で清水紫琴は会話に近い口頭性(orality)のある、読みやすい日本語を発明したと議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の三点を明らかにすることを目的としているが、そのうち二つについては本年度の研究により明らかにした。 1.1890年頃、日本人女性の何パーセントの女性が、小説が書けるほど読み書き能力を持っていたのか。これについては先行研究が少ない。これらをまとめ、当時の女性はどれくらい読み書きできたかを明らかにした。これらは上の1、3、4番目の論文にまとめてている。 2.男性の世界観と女性の世界観に異なった特徴があるとすれば、樋ロー葉が使っていた文語体よりも言文一致体のほうが女性の世界観を表現しやすかったのだろうか。この点については、表現しやすかったということが明らかになった。経緯を1、3、4番目の論文で議論した。
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Strategy for Future Research Activity |
清水紫琴の文化歴史での意義を理解するために、日本のリテラシー(読み書き)の改善を目的にした、言文一致運動以外の運動についても調べる。特にローマ字運動とエスペラント運動と方言研究について研究したい。それぞれは一般大衆のためにコミュニケーションの道具であり、文字や国際的な言葉、地方の話し言葉を使いやすい物にしようという目的のために使用されていたため、研究の必要がある。
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Causes of Carryover |
研究資料のコピーをしたが、請求する方法が分からなかったので、請求しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
請求の仕方が分かったので、来年度はコピーでこの残りの6万円くらいを使う予定である。
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Research Products
(3 results)