2016 Fiscal Year Research-status Report
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26360048
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
島岡 まな 大阪大学, 高等司法研究科, 教授 (20222036)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ジェンダー / フランス / 刑法 / 性犯罪 / 平等 / LGBT |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、パリ第1大学法学研究所にて客員研究員として在外研究を行ったため、フランスでの研究が中心となった。まず、パリ大学及び周辺大学の複数の教授と面会し、ジェンダー平等がフランスでなぜ進み、1992年のジェンダー平等的新刑法典全面改正につながったかインタビューを行った。その中で、やはり1975年のヴェイユ法による中絶の自由化、1980年の性犯罪改革を通じ、ジェンダーと刑事法の関連が意識され、その後の1980年代の一連の刑法改正作業に影響を与えた事実、ミレイユ・デルマス=マルティ(パリ第1大学)教授のような有力な女性教授が刑法改正の中心的役割を担った事実等が指摘された。この間、日本の月刊誌(法学セミナー)に「ジェンダー刑法学入門」を執筆した。9月にポワティエ大学に出張し、刑事法の教授陣とジェンダー刑法研究を行った。フランス刑法学会の第一人者であるミッシェル・ダンティジュアン教授(刑事法学研究所長)にジェンダー平等的フランス刑法における要となっている差別罪のレクチャーを受け、平成29年度中にポワティエ大学客員教授として招聘していただき研究を続ける提案を受けた。12月にはアンジェ大学法学部客員教授として招聘され、日本の刑法に関するフランス語講演を行うと共に、「幸福と法」プロジェクトの一環としてジェンダー平等刑法について意見交換を行った。この間、慶應法学37号に「性犯罪の保護法益及び刑法改正骨子への批判的考察」と題する論文を執筆した。 今後は、フランスでの研究結果を踏まえ、ジェンダー平等刑法改正のために何が必要かを整理した論考を公表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度はフランスのパリ大学を拠点にポー大学、ポワティエ大学、アンジェ大学を訪問し、フランス刑法学者との研究会、意見交換を通じてフランス刑法について多くの知見を得ることができ、多くの文献も収集することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は日本に帰国したので、まとめの作業に入る。1年間海外にいたため、日本の文献情報が少ないが、比較法対象国であるフランスの文献、情報は多く収集できたので、3年間の研究成果を単行本にまとめることを考えている。
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Causes of Carryover |
平成28年度はフランスで在外研究を行ったため、日本とフランスの往復旅費がいらず、書籍も現地の低価格で購入することができたため、当初の計画より支出が少なく、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残額はフランスに海外出張できるほどの額ではないため、成果をまとめるための追加資料の購入や研究会等の国内出張に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)