2017 Fiscal Year Annual Research Report
Fundamental Study on Disaster Legacy of "Disaster Remains"
Project/Area Number |
26360067
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
安武 敦子 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (60366432)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中越地震 / 東日本大震災 / 復興 / 防災 / 震災遺構 / 産業遺産 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は地震対策の先進県と想定される静岡県と,二度の大地震を経験している新潟県に対してアンケート調査を行った。分析にあたっては災害対策指数という指標を用いて,カテゴリーごとの防災への取り組みを見た。世帯構成別では内閣府の調査等でも一般に単身者は取り組んでいないが,新潟県では単身者であっても高い数値を示した。高額な費用が伴う,耐震工事については両県とも低く,さらに自身の家屋の耐震性についてもあいまいであることが分かった。 海外の遺産活用についてはニュージーランドのクライストチャーチの調査を行った。ここでは,直接的遺構として橋などが検討中で大学などは震災ミュージアムを兼ねた再建が検討されている。中心部ではダウンサイジングと合わせた復興が図られている。最も被害が大きかった場所は,鎮魂の場としてまたレクリエーションの場として公園化が図られ,負のイメージは少ない。 産業遺産に関して,炭鉱都市の変遷を,住宅地図を用いて福岡県筑豊地域と長崎県の島嶼部で行った。筑豊地域は閉山時期が昭和40年前後と早かったため,失業者対策費や地域振興補助金を用いた工業団地の誘致や道路建設が数多く行われ,特に生産施設は駅に近接しているため,壊される傾向が強い。島嶼部はビルド鉱として存続したが,近年まで操業の池島,全島離村の端島を除いて,産業施設はほとんどなくなっている。炭鉱住宅についても木造は大島で数棟見られるのみで,RC造の炭鉱住宅は社宅や公営住宅へ移行している。両地域とも産業遺産を活かす観点は近年までなく,代替産業を模索するも男子雇用型の誘致に成功したのは大島での造船業のみで,他は人口が大きく減少している。労働者の減少に伴って娯楽施設や商業施設も減り,日用品店や理髪店,寺社仏閣などが炭鉱開削前からの集落を中心に残存している。産業転換にあたっては古い集落を拠点とした再構成を考えるべきことが抽出された。
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