2016 Fiscal Year Research-status Report
古民家・空き家再生事業の実証研究―農村におけるワークインレジデンスの理念と手法
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26360071
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
山崎 茂雄 福井県立大学, 経済学部, 教授 (40336615)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 社会的包摂 / 芸術資源 / 文化資本 / レジリエンス / 文化観光 |
Outline of Annual Research Achievements |
空き家問題は、全国的にみて、年々深刻度が増している。一方で、地域再生は現在の日本の大きな課題と位置付けられている。こうした切実な背景を踏まえて、本研究課題は空き家、古民家といった資源を文化や芸術の力を借りていかにして再生し、それらを基盤に交流人口の拡大や定住促進を促していくべきかについて、探究してきた。 これまで、日本のいくつかの地域、大分、徳島、兵庫、岩手などの農村地域、またベルギー、フランスなど欧州の地方都市、農村地域を中心に実証研究を試みてきている。そこで明らかとなったのは、次の事柄である。すなわち、空き家や古民家を芸術や文化、農業、情報技術、産業、伝統工芸などと融合させることが有用であり、それにより地域の固有性が創造的に発揮され、地域の魅力が増す可能性を持つ。このとき、地域は再生しはじめ、交流人口、定住促進に向けた胎動が顕在化されていくという点がそれである。この点については、岩手、宮城などをはじめとした東北の被災地における空き家問題についても同様であった。 翻って本研究課題を考察したとき、上述の方向性が普遍性、一般性を持って定式化されうるには、何がさらに必要となるであろうか。本研究課題における研究対象地域は主に農村地域であるが、今後の研究活動の展開としては、日本のあらゆる地域における空き家問題が解消し、かつ地域再生が図られる普遍化されたモデルを提示することであり、この点を中心により深く考究していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の結論をより普遍化、定式化する作業を現在進めているが、実証研究において、より多くの基礎データを収集し、分析する必要性が明らかとなったためによる。
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Strategy for Future Research Activity |
空き家や古民家を芸術や文化、農業、情報技術、産業、伝統工芸などと融合させつつ、文化観光、社会的包摂、レジリエンスといった視角からの創造的再生を今後探究の方向性としたい。
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Causes of Carryover |
研究対象地域へのフィールド調査の回数が当初の計画より少なかったこと、報告書を作成するに至らなかったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究対象地域へのフィールド調査に厚みを持たせ、研究課題解明に向けたデータ収集と分析に努め、学術的報告書の形で世に出すことを予定している。
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