2014 Fiscal Year Research-status Report
移民と観光の相互関係についての基礎的研究ー華人のディアスポラ経験をめぐってー
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26360078
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
舛谷 鋭 立教大学, 観光学部, 教授 (90277806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 哲 立教大学, 観光学部, 助教 (40435540)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 移民 / 観光 / ディアスポラ / 華僑 / 華人 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本国内および中国語、英語による関連する先行研究の収集と整理、国内および東、東南アジアのデータベース、後述フィールド地域における文献資料調査、およびアセアン諸地域(マレーシア、シンガポール、ブルネイ、インドネシア、タイ)で現地調査を行った。 先行研究に関しては、1.マレーシアのペナン島ジョージタウンとマラッカのオールドタウンが2008年に世界文化遺産としてUNESCOに認定される以前から、多民族社会や植民地期の歴史遺産として当該国家や地域社会、それぞれのエスニック集団かつ地域住民からの注目を集め、観光資源として認識されている。世界文化遺産認定後の観光地化は、このような社会的背景の中で理解するべきであることが明らかになった。2.シンガポールの大陸中国からの観光客や新移民が、どのように眼差されているかを、他の移民集団や旧移民、香港での大陸中国の流入時の摩擦事例と比較しつつ、メディア資料を中心とする整理を行った。 現地調査ではマレーシア、クアラルンプールのプタリン・ストリート地区、シンガポールの牛車水地区、タイ、バンコクのヤワラート地区やインドネシア、チレボンの古廟、マレーシア、ペナンの古廟で主に外国人観光客を対象とした観光開発や景観調査を行った。それにより、華人コミュニティとしてのチャイナタウンや華人宗教施設は華人系住民の生活、信仰の場としてだけでなく、多様な背景を持つ観光客を対象とした観光資源として活用されていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は国外での当該テーマに基づく現地調査も行ったが、これは次年度以降の予備的調査の性格が強く、在外シンガポール滞在者と分担し、海外および日本国内での先行研究の収集と整理を集中的に行った。そのため本年度は予定していた予備調査および文献研究をほぼ予定通り行うことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も海外および日本国内での先行研究の収集と整理、および本研究テーマの問題意識に基づく分析を継続して行う計画を立てている。それにより華人研究や地域研究の枠内で議論されてきた問題群を、観光研究の枠組みの中で捉えなおすことにより、移民と観光との相互関係という本研究のテーマに即した考察を進める予定である。 引き続き東南アジアの華人系コミュニティの観光資源化をテーマとしたフィールドワークを行う計画を立てているが、最終年度の総括的な発表機会の予備的な議論の場として、代表者、分担者に協力者を加え、海外学会でセッションを組む予定である。
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Causes of Carryover |
代表者が在外研究中で、フィールド起点がシンガポールだったため、アセアン域内でのフィールドワーク費用が予想より減ぜられた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
4~9月期は引き続き在外起点だが、9月以降は日本起点に戻るため、旅費として当初の予定通りに使用する。
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