2014 Fiscal Year Research-status Report
持続可能な観光の実現に寄与する観光倫理の構築に向けた研究
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26360080
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Research Institution | Aichi Toho University |
Principal Investigator |
宮本 佳範 愛知東邦大学, 経営学部, 准教授 (60571304)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 観光倫理 / 観光者 / 持続可能な観光 / ESD |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、日本における観光倫理に対する認識の変遷を整理するとともに、観光者に対する倫理教育の位置づけを明確にする作業を行った。 はじめに、文献等により観光倫理が現在の日本において観光研究・教育の基礎的分野として認識されていないことを確認した。その理由を考察するため、日本における観光倫理に対する認識を時系列的に整理する作業を行った。その結果、日本では、1950年代には国際的なエチケットに反するような“恥 ”となる行為をすることが非倫理的とされていたが、その後、観光事業者や観光者個人が観光地に悪影響を及ぼすような行為が非倫理的とみなされるように変化してきたことが分かった。 観光倫理の重要性は、1999年に「Global Code of Ethics for Tourism(世界観光倫理憲章)」が定められたことからも国際的に広く認められつつある。しかし、実践的な教育・研究が進まないのはなぜか。その理由を先行研究等から紐解くと、少なくとも観光に関わるステークホルダーの多様性と観光に関わる行為の善悪の判断基準の曖昧さが要因であることがわかった。そこで、観光独自の文脈で研究すべき倫理か否かに着目して、観光に関わる行為主体と行為対象の関係を整理するとともに、観光倫理を持続可能な観光の実現に向けた倫理として位置づけた。そして、「持続可能な開発のための教育(ESD)」の一環として観光者に対する教育を位置付けて実施することを提案するに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究に関連する先行研究、関連文献の収集は、当初予定していたものについてはほぼ計画通り行うことができた。しかし、考察を進めるなかで、当初予定していなかった関連文献を入手する必要が生じたこともあり、文献整理に時間を要することとなった。それは、研究の性質上やむをえないこととはいえ、結果として本年度に論文を完成、公表するに至らなかった。 また、予定していた韓国での調査については、実施しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在執筆中の論文を完成させ、公表することを第一に行う。また、予定通り論文の公表ができれば、理論研究を一旦終え、フィールド調査の準備作業を行う。フィールド調査は8月に行う予定である。調査は、ベトナムのラオカイ州で、現地で観光に携わる人々に対して、観光者の行為の問題等について聞き取りを行う予定である。サパでの聞き取りを中心に行うが、サパはすでに何度か訪れているため、現地ではある程度順調に調査をすることができると考えている。なお、時間が許せば中国雲南省での予備調査も実施したい。
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Causes of Carryover |
当初、韓国での調査を計画していたものの、協力者の予定や当方の学務の都合により実施できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度は夏季休暇中はベトナムでの調査を予定している。したがって、2月か3月に今年度行うことができなかった韓国での調査を計画する予定である。ただし、実現できない場合は翌年に実施したい。
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