2015 Fiscal Year Research-status Report
持続可能な観光の実現に寄与する観光倫理の構築に向けた研究
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26360080
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Research Institution | Aichi Toho University |
Principal Investigator |
宮本 佳範 愛知東邦大学, 経営学部, 准教授 (60571304)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 観光倫理 / 持続可能な観光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず昨年度に引き続き、日本における観光倫理に対する認識の変遷を整理し観光倫理研究の方向性を示す研究を継続し、論文執筆作業を行った。当該論文は現在投稿中であるが、本研究の2つの中心課題のうち、観光倫理研究の範疇を整理および応用可能な理論的枠組みを明らかにするための理論研究は終えることができた。 さらに、予定していたベトナムのラオカイ省サパでのフィールドワークおよび中国雲南省での予備的調査を実施した。サパでの調査では、本研究課題のメインとなる観光者の倫理を考察するための調査を実施するとともに、ファン・シ・パン登山の実施状況を視察した。前者に関しては、これまでの現地での研究等で構築した人脈を頼りに、観光者と関わる少数民族(黒モン族)のガイド、物売り、ホテル従業員等に聞き取りを行った。さらに、少数民族と観光客との接し方、態度などの行動観察を実施した。また、少数民族の自立に向けて少数民族自身が設立したソーシャルカンパニー等で、観光客の振る舞い、態度に関する聞き取りを行った。後者は、本助成金申請時の「研究が当初計画どおりに進まない時の対応」として実施した。サパの主要な観光アトラクションの一つであるファン・シ・パン登山の現状から、いわゆるレジャー化した観光登山の持つ問題点を考察する手がかりを得ることができた。 なお、少数民族観光が盛んであることで知られる中国雲南省については、観光者と当該少数民族との接触状況などがサパと同様の例として参考になるか、もしくは異なる状況として比較研究の対象となり得るか、を視察した。その結果、麗江や大理等を見る限り観光化が進み、まるでテーマパークの様な状況であり、サパのように少数民族の民家を気軽に訪問し、触れあうような状況ではないことが分かった。ただし、今回は中心部しか見ていないため、今後は郊外等の状況を調べる必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度完成させることができなかった観光倫理研究の方向性を示す論文を完成し、投稿することができた。まだ、公刊には至っていないため、論文の修正作業等は必要となるものの、一旦、研究としての区切りをつけることができた。また、ベトナムでのフィールドワークも計画通り実施することができた。ベトナムでの研究のうち、ファン・シ・パン登山に関する論文は現在執筆中であるが、ファン・シ・パン登山の問題点を考察する前段階として、ツアー登山に関する問題点を整理する論文を執筆し、学会誌に投稿することができた。いずれの論文も査読期間中であり採否はまだわからないものの、研究全体としてはおおむね計画通りに進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、8月にブータンで調査を実施する予定である。ベトナムのサパはこれまでも何度か訪れており要領を得ていたが、ブータンはこれまでに訪れたこともなく、また、特殊な観光システムであるため、当面は調査に向けた情報収集と準備を行うこととなる。本調査を通して、サパにおけるオープンな観光システムとブータンの制限された観光システムでの観光者行動の違い、特に当該文化に影響を与えるような行為等が生じる状況について比較し、考察していきたい。そのために、行動観察に加え、サパ同様に観光者と接する人々に聞き取りを行う予定である。
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Causes of Carryover |
本研究課題の初年度に韓国へ出張する予定であったが、協力者の予定や学務の等もあり実施しなかった。その分を2015年度へと繰り越したが、2015年度は当初予定していたベトナム等での調査を実施したものの、韓国への出張は行わなかったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度実施予定のブータンでのフィールドワークは、当初予定を超過する可能性が高い。そこで、次年度繰り越し分を合わせてフィールドワーク費用として使用する予定である。
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