2014 Fiscal Year Research-status Report
首都の中心業務地区における観光空間形成に関する計画学的考察
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26360084
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Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
榎戸 敬介 阪南大学, その他部局等, 教授 (60433091)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 観光 / 都市再生・再開発 / 首都 / まちづくり / 中心業務地区(CBD) / 都市ガバナンス・マネジメント / グローバル・シティ / 官民パートナーシップ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、研究課題に関する基礎文献・資料の収集を進め、首都の中心業務地区における観光空間形成に関する海外での関連事例を把握するとともに、理論的枠組みの構築に必要な概念整理を行った。主要な情報源が、海外の文献や学会・研究会などによる資料であるため、ブリティッシュ・コロンビア大学の図書館においてその収集を行った。効率的に情報収集を進めることができたが、今年度の訪問だけでは調査・収集が不十分であるため、次年度においても同図書館において関連文献の収集を継続する。 一次情報については、関係者インタビューと現地フィールドワークを繰り返し行い、印刷物資料では得られない現場情報や即地的情報を入手した。また、研究対象地区に関するシンポジウムにおいて、主要な利害関係者の公的見解を確認し、上記インタビューおよびフィールドワークによる情報を検証することができた。インタビュー調査については、より多様なキー・インフォーマントを獲得できたので、次年度さらに入念なインタビューを行う予定である。 上記ブリティッシュ・コロンビア大学のアジア研究所日本研究センター(Centre for Japanese Studies, Institute of Asian Research)では本研究について発表する機会が与えられ、海外研究者との意見交換や情報交換を通して首都と観光のより密接な関係についての考察を深めるとともに、本研究課題がアジア研究のトピックとしても重要であるという認識を広めることができた。また、地域への社会還元活動として、所属大学の主催により開催された一般市民を対象とするセミナーにおいて本研究の発表を行い、中心業務地区の観光化という現代の都市現象についての理解を促した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画的なフィールドワークにより、対象地区の空間特性に加え、異なる季節、異なる時間帯、異なる曜日など多面的な空間利用の実態を把握した。また、対象地区の隣接地区についてもフィールドワークを行うことにより、中心業務地区における観光化の多様性を検証することができた。 観光空間のガバナンスについては、各主体の政治的あるいはビジネス戦略上の事情が絡むため非公式情報の入手がやや難しいが、本研究の課題である観光空間の形成の説明に必要な情報はおおむね収集できた。ただし、本地区の再開発はダイナミックに進行中であるためそのガバナンスも固定的ではなく、引き続いての情報収集が必要である。 観光行動の支援とコントロールについては、おおむね把握できたが、現場での工夫や社会実験が継続中であり、今後の調査が必要である。海外事例との比較は次年度の課題であるが、文献・資料収集は順調に進んでいる。 以上、本研究が目指す、都市研究と都市観光研究の理論的融合についての準備はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では情報収集手法として調査票の利用を想定していたが、当該地区の再開発に関する異なる利害関係者からのニュアンスに富んだ情報が有効であることが分ったため、少なくとも利害関係者に関しては調査票を利用せずに情報収集を進める。情報収集にあたっては、むしろ、より多様な利害関係者に対するインタビューや関連文献資料の収集・精査、都市再生に詳しい海外研究者との情報交換などが有効であり、それらを次年度の課題としたい。また、研究対象地区の隣接地区および機能的に競合する周辺の業務地区についての理解が本地区についての理解を深めることに必要であると認識し、関連地区のフィールドワークを進めていく。 海外の事例研究は、特に東京と比較されるロンドン等のグローバル都市についての情報収集を進めるが、フィールドワークに加え、問題意識を共有できる海外研究者との密接な情報交換を図っていきたい。
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Causes of Carryover |
主にインタビュー謝金が発生しなかったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に海外フィールドワークに使用する。
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