2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26360089
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
大方 優子 九州産業大学, 商学部, 准教授 (30390313)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リピーター / 旅行者行動 / 旅行者心理 / 観光地 / マーケティング |
Outline of Annual Research Achievements |
現代の成熟した旅行市場において、同じ旅行先を繰り返し訪れるリピーターは、観光地や観光関連産業にとって重要なセグメントとなっている。それにもかかわらず、彼らの心理や行動に着目した研究はほとんど行われてきていない。本研究では、このような旅行先へのリピーターに着目し、彼らの心理や行動上特性について実証研究に基づき解明することをめざすものである。具体的には、旅行先へのリピーターの類型を整理し、旅行先へのリピート訪問行動が生起する過程を明らかにすることを目的としている。 以上の研究目的に基づき、平成27年度は、主に以下の二点を実施した。 (1)アンケート調査の実施:日本人リピーター率が高いとされる海外旅行先4か所(ハワイ、パリ、韓国、バンコク)をとりあげ、その地域を二度以上訪れた経験のある旅行者800名を対象にウェブ調査を実施し、データを収集した。調査では、リピート訪問動機、リピート訪問経験についてたずねている。今後、収集したデータを用い、本研究の目的である旅行先へのリピーターの類型についての妥当性を検証するとともに、属性や旅行先別の分析も行う予定である。 (2)事例研究:リピーター率が高く、すでに成熟期にある旅行先としてパリ(フランス)を取り上げ、リピーターを獲得するための方策を示すための事例研究を行った。まず実地調査を行い、リピーターを対象としたパリの観光政策に関する資料収集を行った。さらに、パリを訪れる日本人リピーターの動機について調査を行った。研究結果として、パリを訪れる日本人リピーターの再訪動機には4因子(情緒的要因、機能的要因、補償的要因、習慣的要因)が存在し、これらの組み合わせによりリピーターは3つのタイプに分けられることが示された。さらに、パリの観光政策はこれらの因子に対応したものとなっていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、平成27年度に定量調査の実施、分析を完了させる予定であったが、現在分析の途中となっている。その理由としては、実査の段階でいくつかの調整事項が発生し、予定より時間を要してしまったこと、また考察を深めるために、当初の計画になかった事例研究を行ったため、当初の計画がずれこんでしまったことである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後行うべきことは以下の3点である。 (1) 定量調査(アンケート調査)の分析・考察:本研究の目的である、旅行先へのリピーターの類型についての妥当性を検証する。 (2) 定性調査の実施・分析・考察:(1)で検証したリピーターのパターン類型別にデプスインタビュー行い、リピート訪問先での行動やリピート訪問に至った心的過程についてパターンごとに明らかにする。 (3) (1),(2)の結果に基づき、旅行先へのリピート訪問行動が生起する過程を説明する行動モデルを構築する。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、平成27年度中に定性調査を実施する予定であったが、前段階の調査に時間を要したことと、計画の変更(事例研究の実施)を行ったため、当該年度中に予定していた定性調査を実施することができなかった。それに関わる費用が次年度使用額として生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の使用計画は主に以下の2点である。 (1)定性調査の実施(デプスインタビューをリサーチ会社に委託) (2)研究成果の発表(学会発表2件、論文投稿3件予定)
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