2015 Fiscal Year Research-status Report
グル―バルな規模で進む日本化を背景とした訪日外国人観光者の質的変容に関する研究
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26360091
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Research Institution | Nagasaki University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
安江 枝里子 長崎外国語大学, 外国語学部, 准教授 (00635617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 和夫 立教大学, 観光学部, 教授 (10157745)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 日本化 / 訪日観光 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究成果に基づき、平成27年度は訪日外国人が既存の日本の観光地のイメージ形成に与える影響について追加の実証分析を行った。本研究の目的は、「日本化」が進行する社会を背景とした訪日外国人の特性把握を観光空間の生産・消費の観点から行うものである。平成26年度は観光者モデルの再検討を行い、グローバル社会における観光者の tourist as the co-producer としての役割を指摘した。さらに、平成26年度は訪日外国人の観光地イメージ形成のプロセスにおけるtourist as the co-producerの役割を実証する上で「美的感性」の概念の適用可能性を検討した。 平成27年度の研究では、それらの成果に基づき、訪日観光者による観光地イメージ形成への関与を多面的かつより実証的に分析するために、東京都渋谷区の「渋谷交差点」の追加分析を実施した。具体的には日本語と英語のメディア(観光ガイドブック)における対象地の解説を比較分析した。さらに旅行ポータルサイトに記載された対象地に対する日本語と英語のレビューコメントを比較分析することによって、既存の空間が訪日観光者の旅行実践によっても新たな意味が付与されることが明らかになった。また、グローバル化した社会の観光においては、1つのサイトに対して複数の異なる価値・意味が同時に存在しうる可能性を提示した。 また、訪日外国人の母国の「日本化」の状況把握のため、短期の海外調査(タイ・バンコク、イギリス・ロンドン)を行った。本研究では、訪日観光者の出身国・地域を「国際観光振興国タイプ」と「観光消費成熟国タイプ」の2つに分類し(タイは前者、イギリスは後者)、この2地域での「日本化」の観察ならびに資料収集を行った。これらの作業ならびに補足的文献研究と同時並行で「日本化」が進む社会での訪日観光(者)の分析フレームワークを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成27年度は、平成26年度に引き続き、「日本化」が進む社会での訪日観光の分析フレームワーク構築ならびに訪日外国人の特性把握を進めた。当初の予定より遅れはしたが日本の訪日外国人を対象とした観光地の事例分析を国際学会で発表を行うことができた。また、「国際観光振興国タイプ」と「観光消費成熟国タイプ」の2つの地域の「日本化」の観察調査・資料収集を行うことができた。一方で、当初平成27年度に予定されていた訪日外国人へのインタビュー調査等ならびに訪日外国人の母国での日本に関連する文化イベントへの参加は、研究代表者と分担者の海外出張の日程調整がつかなかった点、研究代表者の所属機関内業務としての海外出張が急遽発生した点、研究分担者の役職の変更、さらには分析フレームワークの構築が進み、実証データ収集の調査計画の修正が見込まれたため、平成28年度以降に繰り越されることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成28年度はこれまでの海外調査の結果を整理ならびに分析を行い、分析フレームワークの精緻化を進める。また、これまでの成果が部分的にでもまとまり次第、随時学会等の発表や雑誌論文の投稿を通じて成果を公表する。同時に構築された「日本化」が進む社会での訪日観光の分析フレームワークを基に昨年度未実施であった実証データの収集を行う。その際には、平成27年度末までの段階で構築されたフレームワークとその議論において示唆された「グローバルな空間」としてのショッピングモールを研究対象空間として焦点をあて、調査計画の修正を行った上で調査を実施する。
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Causes of Carryover |
本研究課題の計画が遅れており、平成27年度に予定していた実証データを収集する調査が未実施だったために、想定された人件費・謝金と海外旅費等が使用されなかった。平成28年度は調査計画を修正した上で実証データの収集・整理・分析を行う予定であり、平成27年度に未使用であった費用を使用する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
具体的な使用計画としては、①ショッピングモール(国内)での調査旅費 ②インタビュー調査等の謝礼 ③インタビューデータ整理に伴う人件費 ④関連文献購入費用 ④学会参加用の旅費・参加費 などを予定している。
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Research Products
(2 results)