2015 Fiscal Year Research-status Report
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26370001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
千葉 惠 北海道大学, 文学研究科, 教授 (30227326)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 完成 / 実動 / 力能 / エルゴン / ロゴス / 一性 / 待機力能 / 定義 |
Outline of Annual Research Achievements |
アリストテレスの様相存在論をロゴスアプローチとエルゴンアプローチ二つの視点(L-E)からアクセスを試みて、十全な展開をえた。平成27年8月末に原稿「信の哲学ーパウロはどこまで[アリストテレスと]共約的かー」を出版助成を得るべく提出した。400字で2200枚のものであり、三部構成のうちその第一部「信の哲学を可能にするもの」はアリストテレスの(L-E)アプローチとして展開した。本年度は不採択であったため、出版にいたらなかった。5月1日には延世大学(Underwood College,Philosophy & History Ideas Workshop)に招かれアリストテレス哲学について講演した。6月17日M.Perala氏(Helsinki Univ)を招いた151回PhilethセミナーでAristotle's Ontologyで発表した。7月18日北海道哲学会シンポジウム「生物学の哲学」においてAr.の目的論的生命観により発表した。8月25日岩田圭一氏『アリストテレスの存在論』の書評会を酒井健太朗氏(九大)等を招きおこなった。10月The Second Metaphysics Colloquium(台湾国立大学)に招かれAristotle's Modal Ontology -Logos and Ergon approaches-にて発表した。12月16日M.Zingano氏(Sao Pauo Univ)を招きAr様相存在論につき発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アリストテレスの三つの様相概念は従来「可能態ー現実態」という組により理解されてきたことの誤りを明らかにすべく勤めている。だいぶ展開したといえる。最後の解明すべき問いは『形而上学』九巻冒頭で存在の語りが「エルゴンに即し」たものと「力能と完成に即して」語られるとあるが、この組がロゴスとしての定義形成に即したアプローチであることは明らかであるが、その論証にてこずっている。しかし、それももうすぐ解決されるであろうという感触を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」において記したように「力能と完成」のペアがロゴスアプローチであることの立証に努める。そしてこの組が先行哲学者たち、たとえばエレア的一元論やヘラクレイトス的万物流動論などの批判をする起点になっていることを明らかにすることにより、アリストテレスの様相存在論が存在の包括的研究として力能、実動そして完成の三つの極に基づき展開されていることを明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
イタリア、ローマにある法王庁グレゴリアナ大学における、アリストテレス様相存在論に基づくパウロ書簡の分析に関する発表の時期が28年4月4日にずれこんだため、3月中の支出がかなわなかったこと。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記グレゴリアナ大学での発表に支出する他、10月14-16日に開催されるThe Third Canadian Colloquium for Ancient Philosophyにおける発表を予定している。さらに、カリフォルニア大学(UCLA)における共同研究を計画中である。
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