2015 Fiscal Year Research-status Report
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26370010
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
水本 正晴 北陸先端科学技術大学院大学, 先端領域基礎教育院, 准教授 (70451458)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 実験哲学 / 認識論 / 文脈主義(言語的) / 文脈主義(認識論的) / 意味の理論 / 真理条件意味論 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度(平成27年度)は来年度開催の国際会議に向けて、発表の募集、選考、プログラム作成などを行う一方、会場や宿泊施設の確保などを遂行した。 また認識論の研究においては日本語の「知っている」と「分かっている」の調査を行い、両者の語用論的かつ意味論的な違いを明らかにし、その認識論的な含意をまとめて一つの論文として完成した。これは現在編集を行っている論文集の論文の一つとして出版する予定である。 さらにこの論文集のために、研究協力者であるスティーブン・スティッチらとともに認識論における言語的・文化的差異についての研究のManifestoを執筆し、論文のとりまとめ、配置、序文の執筆など編集の仕事を行った。 これと並行し、日常言語の意味論の探究として、文脈主義的な意味論と真理条件的意味論との関係をゲティアー例に見られる偶然的真理の観点から考察し、トラヴィスらの文脈主義とホルヴィッチらのデフレ主義(ミニマリズム)は整合的ではないと論じる発表を科学基礎論学会で行った。これはまた、発話や信念の内容を真理概念を用いるのではなく、プリミティヴなものとしての知識の内容に基づいて捉えるknowledge-first semantics という新たなアプローチの提案に繋がる。この研究についてはそうした意味論を徳理論との関係から捉え直し、「徳意味論」として解釈する発表を台湾のSooChow大学で発表し、またその意味論に基づきゲティアー例そのものや銀行例、シマウマ例などを捉え直することでむしろ(認識論的文脈主義でなく)insensitiveなinvariantism を導き出す、という発表を北京大学で開催されたウィリアムソン会議で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題に関して開催する国際会議(Ethno-Epistemology)の発表申し込みは世界から多数あり、準備は順調に進んでおり、論文集についても目次に至るまで詳細が決定した。また認識論と日常言語の意味論の研究についても、「知っている」と「分かっている」の間に認識論的に興味深い差異があることをデータとして示すことができ、他方文脈主義的な意味論と認識論との関係を具体的に描き出すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは6月の国際会議を成功させることが最大の目標であるが、それと並行して平成28年度中を目標として論文集の出版手続きを進めたい。 また、平成27年度の認識論および意味論についての研究の成果を論文として出版するために努力していく。
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Causes of Carryover |
当初当該年度(平成27年度)において開催する予定であった国際会議が研究協力者や招待講演者のスケジュールの都合などで次年度に延期されたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定されていた通り、国際会議開催のために使用する。
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Research Products
(8 results)