2015 Fiscal Year Research-status Report
セラーズの哲学と20世紀英米圏における実在論哲学の影響関係をめぐる研究
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26370012
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
三谷 尚澄 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (60549377)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | セラーズ / ブランダム / プラグマティズム / 実在論 / 唯名論 |
Outline of Annual Research Achievements |
「ウィルフリッド・セラーズの哲学について、とくに20世紀英米圏における実在論哲学との影響関係に注目しつつ、その全貌を明らかにする」という目標を達成する一環として、交付申請書に記載した目的・計画に従いつつ、とくに次の諸点について明らかにした。 (1)「アメリカにおけるプラグマティズムの伝統とセラーズの哲学との関係を明らかにする」という課題の遂行において、一定の成果を得た。 より具体的には、セラーズの哲学を根本のところで特徴付ける「メタ言語的唯名論」の発想について、それがセラーズの後継者であるブランダムの「プラグマティックな表出主義」においてどのような仕方で継承されているかを明らかにした。そして、このことを通じて、「プラグマティスト」としての性格づけから距離を取ろうとするセラーズ自身の言明にもかかわらず、セラーズの哲学をプラグマティズムの伝統の内部に位置付けることが可能であることを明確にした。 なお、その研究成果については、関西哲学会における共同討議「真理論」の提題発表として公表した。 (2)「世界の実在的あり方」を記述する哲学的モデルの一つである「絶対プロセス」の理論に注目し、そのセラーズ的枠組みを「知覚経験」の分析に適用することによって、セラーズにおける「実在的世界の知覚」のあり方がどのような仕方で明確にされうるかを明らかにした。 なお、その研究成果については、国際ワークショップ「Comparative Philosophy of Perception」で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究の目的」に即した内容の研究を、国内・国際の定評ある複数の学会で発表し、また、その成果については、論文の形で公表(ないし英文査読誌に投稿)することができた。以上から、本年度の研究の進捗状況については、おおむね順調に進展していると判断することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、「英米哲学史における実在論」との関係をめぐる視点から、セラーズ哲学の全貌を明らかにする研究に取り組む。平成28年度においては、オーストラリア国立大学における招待講演で関連のテーマについて発表することが決定している。また、研究計画の最終目標であるセラーズ哲学に関する単著の公表についても、具体的な執筆過程に進んでいきたい。
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Research Products
(4 results)