2016 Fiscal Year Research-status Report
セラーズの哲学と20世紀英米圏における実在論哲学の影響関係をめぐる研究
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26370012
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
三谷 尚澄 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (60549377)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | セラーズ / ブランダム / ミリカン |
Outline of Annual Research Achievements |
「ウィルフリッド・セラーズの哲学について、とくに20世紀英米圏における実在論哲学との影響関係に注目しつつ、その全貌を明らかにする」という目標を達成する一環として、交付申請書に記載された目的・計画に従いつつ、とくに次の諸点について明らかにした。 1)現代アメリカを代表するセラーズ派の哲学者であるロバート・ブランダムの真理論に注目し、ヒュー・プライスやルース・ミリカンといった(ブランダム同様、セラーズに決定的な影響下に独自の理論を構築している)哲学者との対比を通じて、「表出主義的プラグマティズム」の立場から提出されたブランダムの真理論について、その哲学的意義と射程を評価した。また、その研究成果を、査読誌論文として公表した。(「表出主義的プラグマティストの真理観」、『アルケー』) 2)セラーズ哲学における「写像」の理論に焦点を合わせ、通例セラーズに好意的な解釈者の間ですら積極的な評価がなされてこなかったその哲学的意義を明らかにした。より具体的には、ルース・ミリカンによるセラーズの写像解釈が取り上げられ、ミリカンの解釈がはらむ弱点の指摘とともに、セラーズのテキストを適切に解釈するとき、彼の写像の理論にどのような哲学的ポテンシャルが見出されうることになるかを論じた。また、その研究成果を、査読誌論文として公表した。(Naozumi Mitani, Picturing and Meta-Linguisitc Expressivism, ”Contemporary and Applied Philosophy, Selected Papers of 2nd CCPEA")
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究の目的」に即した内容の研究を、国際レベルのワークショップで発表し、また、その成果については、国内・国際レベル双方において査読誌論文の形で公表することができた。以上から、本年度の研究の進捗状況については、おおむね順調に進展していると判断することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、「英米哲学史における実在論」との関係をめぐる視点から、セラーズ哲学の全貌を明らかにする研究に取り組む。また、来年度に開催が予定されている国際学会での発表にむけた準備を進める。さらに、最終年度に刊行を予定している単著原稿について、その前半部(セラーズの言語哲学に関わる部分)の執筆を開始する。
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Research Products
(3 results)