2017 Fiscal Year Annual Research Report
Explication of pilosophical problems concerning time using achievements of modern physics
Project/Area Number |
26370021
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森田 邦久 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (80528208)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 時間論 / 量子力学の哲学 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度には、最新の宇宙論を従来の哲学的時間論の問題点へ応用することを試み、その成果は口頭発表としては2017年12月に台湾にて開催された2017Asian-Pasific Conferenceにて、そして雑誌論文としては、Annals of the Japan Association for Philosophy of Science 26 (2017) pp. 1-8(査読あり)『現代思想』12月臨時増刊号(2017)121-132頁(査読なし、依頼論文)に発表した。さらに、編著者として物理学者と哲学者双方から時間論に関する論文を募り、2018年度中には出版する予定であり、単著としても本プロジェクトの成果をまとめたものを出版予定である。 成果の内容としては、まず動的時間論と呼ばれる立場は観測者によらない客観的で絶対的な時間様相である<現在>の実在を仮定するわけであるが、現代科学の成果にこの<現在>の実在という仮定が矛盾することを主に論じた。例えば、これまでも特殊相対性理論の「同時の相対性」という成果と<現在>という概念の不整合は指摘されてきたが、動的時間論者はこうした指摘に対して、さまざまな仕方で応答してきた。しかし、さらに現代宇宙論で多くの支持者を持つ多宇宙仮説を考慮に入れた時、<現在>の実在は維持できないことを論じた。また、純粋に形而上学的に考察した場合でも、時間の始まりの問題に関して動的時間論は問題を持つことを示した。さらに、動的時間論の問題点として時間の内在的方向性が定式化できないことを指摘した。
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