2014 Fiscal Year Research-status Report
ベーシック・インカムとESDとの哲学的連関についての日独共同研究
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26370025
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
別所 良美 名古屋市立大学, 人文社会系研究科, 教授 (10219149)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ベーシック・インカム / 持続可能性 / ESD |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、研究代表者が既に行った科研費による研究「ベーシック・インカムの哲学意義についての日独共同研究」(基盤研究(C)平成23-26年)の成果としての洞察、すなわち民主主義の更なる発展の条件としてのベーシック・インカム(以下BIと略記)という洞察を更に発展させ、民主主義とBIとESD(持続可能な開発のための教育)との相互連関を明らかにすることである。そこで平成26年度には、主に新たな領域であるESDについての研究を行なった。ESDに関する理論的研究を行なうことに加え、平成26年8月25~27日には、持続可能な地域社会の形成に貢献する人材育成をめざす北九州市立大学の地域創生学群を訪れ、真鍋和博教授(学群長)らから「北九州まなびとESDステーション」にける大学と北九州ESD協議会その他のNPOとの連携について教示を受けた。その後、研究代表者は11月10~12日に愛知県名古屋市で開催されたユネスコESD世界会議の機運醸成のためにさまざまな活動を行った。また、名古屋市立大学で11月8日に開催したESDシンポジウム「中部の里山資本主義」の企画運営を中心となって行った。中部ESD拠点の運営委員として当該国際会議のワークショップで報告された「ESD流域圏モデル」の作成にも関与した。また平成27年1月23日に福島大学の荒木田岳・准教授を招き、福島第一原発事故後の環境汚染問題に起因する住民の苦境の現状と、そこから現行制度を改善しようとする民主的な市民運動の可能性について報告してもらう講演会も主催した。 ESDに関しては、理論的研究のみならず、ESD世界会議開催を機に、実践的な面からも持続可能な社会をつくるという理念が市民を民主的な行動へ促すことの可能性について多くの知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年11月10~12日に愛知県名古屋市で開催されたユネスコESD世界会議への関与は本研究にとって重要なものであったが、これに関連する業務のために多くの時間を費やしたために、平成26年の研究計画に挙げていたドイツにおけるESDやBIに関する調査研究を推進することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、ドイツにおけるESDの実情調査と研究者との意見交換を行うために、9月初旬にドイツへ出張する予定であり、ESDとベーシック・インカムとの関係についてドイツでどのような議論がなされているかを明らかにする予定である。 またESDに関する国際連携は、当然のことながら日本とドイツに限定されるものではなく、とりわけ近隣アジア諸国の研究者との共同研究の構築のために中国の研究者との連携を模索している。
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Causes of Carryover |
平成26年11月10~12日に愛知県名古屋市で開催されたユネスコESD世界会議への関与は本研究にとって重要なものであったが、これに関連する業務のために多くの時間を費やしたために、平成26年の研究計画に挙げていたドイツにおけるESDやBIに関する調査研究を行うためのドイツへの出張ができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に充分な時間をとってドイツでの調査や研究交流を行うための費用として使用するとともに、持続可能な社会形成に関してアジアの近隣諸国である中国の研究者との交流を企画し、本研究の射程を広げるための費用とする計画である。
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Research Products
(2 results)