2016 Fiscal Year Annual Research Report
Philosophical research on "the dignity of human life"
Project/Area Number |
26370026
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
森岡 正博 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (80192780)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 人生の意味 / トロッコ問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は最終年度であるので、3年間の研究の総括を行ない、学会発表と論文作成を行なった。そのうち主なものは以下である。 1)トロッコ問題と原爆投下についての研究・・トロッコ問題は分析哲学の領域で長く議論されてきた難問である。これが原爆投下の正当化論に近いのではないかという発想から、トロッコ問題の構造を分析し、「「トロッコ問題」問題」というものが潜んでいることを突き止めた。この問題はまさに人間のいのちの尊厳に関わるものである。その成果の一部は応用哲学会第8回年次大会にて発表した。現在、論文作成中であり、2017年度中に刊行したい。 2)「いのち」と「ナラティブ」の関係性・・人間の「いのち」はそれを語る人々の「ナラティブ」のなかで生き続け、伝達されるという仮説を立て、脳死になった家族についてのナラティブのなかでいかに脳死の人の「いのち」が語られ、伝達されていくかを検証した。その成果は第22回日本臨床死生学会大会の大会基調講演で発表した。 3)フランクルにおけるコペルニクス的転回について・・フランクルは著書『夜と霧』にて、人生の意味の「コペルニクス的転回」について語っている。この箇所は有名であるが、その正確な意味については諸説があった。そこで同書の原文を丹念に読み解き、先行研究と照らし合わせながら、その意味するところを再構成した。それによって、人生から日々刻々と問いを立てられているということの意味が浮かび上がった。成果を論文「フランクル『夜と霧』における人生の意味のコペルニクス的転回について」として刊行した。 以上の成果は2017年度に向けてさらにいくつかの論文・発表となって公表されることになる。
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Research Products
(5 results)