2016 Fiscal Year Annual Research Report
Re-examination of the School of Gaius' Concept of Nature, its Transformation according to their Interpretation of Plato
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26370029
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
金澤 修 学習院大学, 文学部, 講師 (60524296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 和男 学習院大学, 文学部, 准教授 (80383545)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アプレイウス / 中期プラトン主義 / ヘレニズム思想 / ローマ帝政期 / バクトリア / アフリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度(平成28年度)に、研究代表者は学会において1)研究発表を一本、2)雑誌論文を一本、3)一つのシンポジウム主催を行なった。 1)の研究発表および2)の論文は、現在のアフフガニスタン国境近辺で1980年代にフランス調査隊によって発見された、哲学的内容が書き込まれた「パピルス断片」を精査したものである。この断片はイデア論について対話篇形式で書かれているが、哲学史上の位置付けを巡って本発表および論文が果たした意義は以下の点で大きいと思われる。a)日本では一部の歴史研究者を除き、当該断片の存在そのものが知られていなかったが、これを紹介した。b)単に資料として概観することなく、プラトン、アリストテレス・ペリパトス派との関係を視野において位置付けた。c)上記位置付けに際し、後代の中期プラトン主義との関係を用語の上から明確化した。 3)のシンポジウムでは研究代表者が「アプレイウスはなぜ「宇宙について」を翻訳したのか」、研究分担者が「アプレイウス研究の今」というタイトルでそれぞれ科研費による3年間の研究の総決算となる発表を行ったほか、哲学分野でも一本、さらに歴史学分野からも二本の発表が行われを、本科研費が研究の中心としていたアプレイウスとそのプラトン主義について、哲学のみならず歴史学からも複層的な議論が行われた。 3年間の科研費に基づいた研究は、アプレイウスや中期プラトン主義という、日本の哲学史では研究対象とされることが稀な対象について、その前後の哲学史的観点や議論を踏まえながらその自然観を中心に検討を重ねたのみならず、歴史学領域の専門家を交えた学際的アプローチも同時になされたため、従来の哲学史的研究に比べ、飛躍的かつ重層的な研究活動が達成された。
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