2016 Fiscal Year Annual Research Report
Ethical Study on The Existence of Mankind in the World of Co-existential Kami and Buddhas: A Study of the Gukansho and Other Texts
Project/Area Number |
26370035
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
上原 雅文 神奈川大学, 外国語学部, 教授 (30330723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏木 寧子 山口大学, 人文学部, 教授 (00263624)
吉田 真樹 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (20381733)
栗原 剛 山口大学, 人文学部, 准教授 (50422358)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 愚管抄 / 慈円 / 神仏共存 / 神仏習合 / 現存 |
Outline of Annual Research Achievements |
『愚管抄』巻第三までの読解作業として、岩波古典文学大系など4種類の活字本での本文校合、及び現行の注釈や現代語訳の問題点・試訳を各自が持ち寄り、問題点について議論した。この成果の一部は、3年間の中間報告としてリポジトリにて公開予定である。 申請時の目的であった、神・仏・天とそれらの関係思想を人間の現存との関係において倫理学的に考察することに関しては、3年間を通じて研究会で報告と議論を行い、研究を進めることができた。最終年度の個別研究は以下である。 研究代表者・上原は、自然観の変遷を軸にした神仏共存世界と人間の現存の構造について考察を進め、その一部を論文として公刊した。また独特の神仏共存思想をもつ一遍の研究も進めた。研究分担者・吉田は、神仏共存思想の深層的要因の一つである霊魂観の考察を行い、論文を一本、単著の改訂版を一冊公刊した。ともに近世以降に仏教を排除しようとして矛盾を抱えた思想家を論じたものである。他に『源氏物語』に見られる神仏共存思想について考察した。研究分担者・柏木は、『今昔物語集』天竺部に即して、「仏」観念について検討した。人々の現存の意味を解き明かす知を具えつつ、自身、現存する生身の人でもある釈迦仏の描写に基づき、院政期における仏、及び人の現存の捉え方について考察した。成果は現在まとめつつある。研究分担者・栗原は、神仏共存世界と人間の現存をめぐる近世以降の思想史的展開に目配りすべく、近松門左衛門の人形浄瑠璃についての論考二本、および儒学・武士道を主題とした自著の文庫版を公刊した。 『愚管抄』の神仏共存世界と「現存」の構造、および慈円の生き方・知の様態の解明においては、本文と周辺文献の読解を前提とした議論、及び実地調査の成果もあって研究を進めることができた。特に慈円の修行・儀礼の地などの調査で、神仏共存世界の具体的な景観を目にすることができたのは大きな成果と言える。
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Research Products
(8 results)