2017 Fiscal Year Annual Research Report
The Limit of Privacy and Right to Autonomy: A Study from the information ethics and the history
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26370040
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Research Institution | Kibi International University |
Principal Investigator |
大谷 卓史 吉備国際大学, アニメーション文化学部, 准教授 (50389003)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | プライバシーの総合的理解 / インターネット研究倫理 / プライバシー権とプライバシーの区別 / アイデンティティ論から見たプライバシー / 法と倫理・慣習 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)インターネット研究倫理におけるプライバシー問題の考察 インターネットの創作サイト掲載のアマチュア文芸作品をテキスト解析するにあたって、著作権法における著作権の制限にしたがって利用したにもかかわらず、いわゆる「炎上」する事件が起きた。この事件に関して、海外のインターネット研究倫理の研究成果を踏まえて、法による解決が困難な倫理問題の存在を指摘し、調査研究の継続性という観点から、対象となるデータ提供者とのコミュニケーションが重要であることを指摘した。 (2)研究成果の取りまとめと公表 前年度までの研究調査をふまえ、書籍において研究成果の一部を報告した。大谷卓史(2017)『情報倫理-技術・プライバシー・著作権』みすず書房(544p)は、本科学研究費補助金の助成期間を含む9年間に起こった情報倫理にかかわる問題を取り上げ、その背景と経緯などを記録し、情報倫理学的考察を加えることで、現代の情報社会におけるプライバシーにかかわる社会現象の理解を意図したものである。プライバシーの哲学・倫理学と法、プライバシー保護技術について、ばらばらに論じられることが多いが、同書においては、これらの知見を活かし、総合的に問題を把握し、一定の見通しをつけた。本書は、電気通信普及財団第33回テレコム社会科学賞奨励賞を受賞した。 (3)自己論とプライバシーのかかわりについての考察 プライバシーと自己決定権の限界に関しては、文脈的完全性(Nissenbaum)やプラグマティズム(Solove)、公共空間の保護(Nagel)などの理論があるものの、いまだ決定的な理論は存在しない。上記の書籍などでの検討をふまえて、自己論とのかかわりからプライバシーと自己決定権を説明する理論構築を継続している。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] インターネット研究倫理の必要性とその課題 : 海外における展開と日本への導入2017
Author(s)
大谷 卓史 , 西條 玲奈 , 久保 明教 , 大澤 博隆 , 江間 有沙 , 神崎 宣次 , 服部 宏充 , 市瀬 龍太郎 , 秋谷 直矩 , 駒谷 和範 , 宮野 公樹
Organizer
電子情報通信学会技術と社会・倫理研究会
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