2015 Fiscal Year Research-status Report
「知識のオープン化」の理論的、実践的含意に関する認識論的研究
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26370041
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Research Institution | National Institution for Academic Degrees and University Evaluation |
Principal Investigator |
土屋 俊 独立行政法人大学評価・学位授与機構, 研究開発部, 教授 (50155404)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | オープンアクセス / オープンデータ / オープンサイエンス / オープンソース / 学術コミュニケーション / 機関リポジトリ / 大学評価 / MOOC |
Outline of Annual Research Achievements |
知識のオープン化の展開が現実に急速に進んでいる状況のなかで、その理論的理解について考察するとともに、より重要な課題として、それらの状況の展開の整理を行った。理論的観点からは、知識のオープン化が高等教育における「オープン化」に及ぼす影響について検討し、27年度の段階においては、それが結果として、現在の高等教育の基盤となっている大学制度が提供する諸機能(教育、学位授与、資格授与、能力開発等)をアンバンドルする方向性をもつことを明らかにした。オープン化の状況の進展については、第一に、研究成果の発表手段としての雑誌論文へのオープンアクセスの推進が、これまで考えられていたようなグリーンな方法(一旦発表されたものの最終原稿を機関リポジトリないし分野別リポジトリに登載する方法)の非効率性が共通に認識され、むしろ論文を発表しようとする研究者が費用を負担して、一定の質管理が行われている雑誌から発表する方法が英国、オランダ、ドイツ等で推進されてきたこと確認した。この場合の最大の問題が「質の管理」であることの共通認識も確認した。同時に、研究成果だけでなく研究のための資源である研究データに対するオープンアクセスの重要性の認識が深まり、とくに政府レベルの協調が推進されていること、にもかかわらず、国ごとにその実現方法については大きな相違が残ることも確認された。あわせて、「シチズンサイエンス」がオープンサイエンスの推進の観点から論じられているが、それがブレークスルーにはかならずしもつながるとはいえないことを歴史的、理論的に明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進捗は2年目の予定した段階に達している。しかし、成果の公表が予定通りでないことから、「おおむね」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に予定通りに実施する。
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Causes of Carryover |
予定していたワークショップ等が実施できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度に実施する。
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Research Products
(3 results)