2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26370051
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Research Institution | International College for Postgraduate Buddhist Studies |
Principal Investigator |
後藤 敏文 国際仏教学大学院大学, その他の研究科, 教授 (40215497)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 古インド・アーリヤ語 / サンスクリット語 / インド・ヨーロッパ語比較言語学 / ヴェーダ / アヴェスタ / 歴史文法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,古インド・アーリヤ語(広義の「サンスクリット語」)の諸語形を,語根,語幹,接尾辞,語尾等に分節し,活用組織や語形成の原理と機能とを正確に分析把握し,さらに,歴史的展開を跡づけることを目指す。古インド・アーリヤ語の文献研究と歴史文法研究とに確実な基盤を提供し,同時に,インド・ヨーロッパ語比較言語学,古インド・イラン語歴史文法,ヴェーダ学,サンスクリット文献研究・言語研究において今日までに達成された成果を,多岐に亘る術語の確定をも含めて日本語で提供する。在証される言語事実に立脚した学術的文法でありながら,簡明的確な入門解説をも兼ね備えた著作の作成を目指す。 当年度の作業は,全体の構成,活用組織の理論的枠組みの構築を主とした。また,音韻論に関わる分野において,形態論の記述に際しての必要性から,あるいは,日本語による研究書に未だ反映されていない,特に解説を要する新知見について,必要事項を確認整理し,一部論述を終えた。名詞活用の基本語尾一覧について表を作成した。 幸い,当年度からサンスクリット語入門,および,リグヴェーダ講読の授業を受け持つこととなったため,改めて入門者と研究者の双方に必要とされる知識と理解の基盤について考える機会が得られ,先に英語で出版したOld Indo-Aryan morphology and its Indo-Iranian background(2013)とは大幅に異なる新たな記述の必要性を具体的に確認し,完成像を構想することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時には,本年度の研究計画として,1.形態論全般に亘って用いられる基礎概念,術語の整理と定義解説,2.音韻変化に関する注記,3.名詞活用(実体詞,形容詞)の一部,計3項を計画していた。 この中,1.と2.については,概ね検討を終えたが,最終的記述には未完了の部分がある。3.については,全体の活用語尾の一覧を完成したところで終わっている。 遅れている理由は,東京の大学に再就職したことにより,環境整備に手間取り,研究計画遂行に当初予定していたほどの労力が向けられなかったことが挙げられる。他方,新たな環境下で,授業,研究会その他の機会を活かすことにより,研究計画の深化を目指すことが可能になった。今後の進展に良い基盤ができつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年に計画していた部分,特に,名詞活用の項目の完成を優先し,当初の27年度研究計画の完了を目指す。以後,特に変更は無い。今後,研究協力者との連携をより密にし,彼らの力を活かすべく努めたい。
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Causes of Carryover |
計画していたパリのインド・ヨーロッパ語学会に時間の都合がつかず,出席できなかったことが最大の理由である。発注した書籍の到着が遅れていることがこれに次ぐ。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
Hroznyi によるヒッタイト語解読から100年の経過を記念する学会(11月,プラハ)の発表に招かれたためこれに出席し(旅費,滞在費本人持ち),合わせて最近交流の機会が乏しくなってきているドイツ,オーストリアの研究室を訪ねて最新の意見交換,資料の入手に努めたい。東京の研究室には必須資料に欠けるところがあり,入手困難なものについてはコピーによって揃える必要がある。このために,研究補助を利用したい。
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