2014 Fiscal Year Research-status Report
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26370063
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
狩野 恭 神戸女子大学, 文学部, 教授 (70204592)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 主宰神 / 神の存在論証 / 国際情報交換 / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度では、第一に、『タットヴァ・サングラハ、同パンジカー』(TS,TSP)における主宰神論について、試訳をチェックし、暫定的和訳を完成させた。同書の主宰神論は、基本的にダルマキールティの主宰神批判に基づいているが、批判対象としてのニヤーヤ学派、ヴァイシェーシカの論師たちの中には、若干の意見の食い違いも散見されることが判明した。また、現行刊本とチベット訳との相違点、写本の読みとの相違点なども明らかとなった。 『ニヤーヤ・マンジャリー』(NM)における主宰神論部分についは、前半について、試訳をチェックし、暫定的和訳を完成させた。刊本、写本ともに多くの問題をかかえており、より多くの、特に古い写本を収集した上で判断されるべき問題も少なからずあることが判明した。 9月には「インド哲学諸派における<存在>をめぐる議論の解明」(ダルシャナ科研、代表者東京大学丸井浩、課題番号23242004)の研究協力者として長野県松本市で行われた合同合宿に参加した。また、研究成果「インドにおける主宰神の存在論証をめぐる論理学的諸問題」を『インド哲学仏教学研究第22号特別号、インド哲学諸派の<存在>をめぐる議論の解明』(東京大学大学院人文社会系研究科・文学部インド哲学仏教学研究室)に発表した。その中で、従来の主宰神論において論じられることのなかった、主宰神の存在論証の論理学的な本質的問題を論じた。 第2期に参加した第5回国際ダルマキールティ学会での発表論文の「同プロシーディングス」への掲載のために、1月末締切の同論文原稿を執筆した。この論文では、いわゆる「反所証拒斥論証」について、後期のジュニャーナシュリーミトラが、特にその刹那滅論の中で、この論証をどのように位置づけているのか、また、肯定的随伴関係の確定と否定的随伴関係の確定をどのように行い、関係づけているかを解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、計画どおり、1件の国際学会発表を行い、また、2本の論文(英文1、邦文1)を完成させた。写本の調査も計画どおり、ドイツ,ゲッテインゲンの写本については、調査をおこなうことができた。 『ニヤーヤ・マンジャリー』のテキスト校訂作業は、問題点が多く、遅れているものの、着実に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
『ニヤーヤ・マンジャリー』『タットヴァサングラハ』のテキスト校訂作業は、写本の状況から、後者を優先、あるいは、同時並行ではなく、『ニヤーヤ・マンジャリー』のテキスト校訂作業を優先して行ったほうが能率的であることがわかり、計画を修正し、前者を優先して行うこととした。
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Causes of Carryover |
1、年度末に計画していた、東京学芸大学における研究会への参加、および資料調査の日程が、双方の都合により変更になり予定より短縮されたため。 2、購入予定をしていた書籍、資料の入手が遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1については、平成27年度8月に再度、東京学芸大学に資料調査に行く予定。 2については、平成27年度7月までに入手する予定。
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Research Products
(2 results)