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2014 Fiscal Year Research-status Report

近世日本における暦学の展開と暦の流通に関する宗教社会史的研究

Research Project

Project/Area Number 26370070
Research InstitutionAichi Gakuin University

Principal Investigator

林 淳  愛知学院大学, 文学部, 教授 (90156456)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 岡田 正彦  天理大学, 人間学部, 教授 (00309519)
梅田 千尋  京都女子大学, 文学部, 准教授 (90596199)
Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywords陰陽道 / 陰陽師 / 梵暦 / 暦学 / 暦占 / 土御門家
Outline of Annual Research Achievements

8月に林、岡田、梅田で、福井県おおい町にある土御門神道本庁を訪問、そこで実施されている八朔祭の儀礼を参与観察し、地元に残っている史料について聞き取りすることができた。名田庄村暦会館を訪問し、そこに所蔵されている谷川文書について聞き、史料整理を手伝いをすることを約束。その後に谷川家文書の一部を、梅田、林で翻刻を実施。翻刻の成果は、暦会館の特別展「土御門家と名田庄納田終」で公開された。それらの史料から、近世後期において土御門家が積極的にこの地域の陰陽師と連絡を取ろうとし、また陰陽師も土御門家とのつながりを求めた様子がうかがえた。さらに11月に梅田が暦会館を訪問。特別展のための翻刻・調査を実施した。
10月に国立天文台に林が行き、暦学関係の史料を調査。かつて国立天文台に勤務していた研究者と面談することができた。戦後における暦学の共同研究の推移を知ることができた。とりわけ前山仁郎文書、浅野家文書をいかに整理・保存したかを詳細に聞くことができ、薩摩暦について貴重な情報をえた。
11月に林が、千葉県千倉市にある鳥海家に残っている土御門家江戸役所発給の史料を閲覧。必要な個所を撮影した。その家はいまも「ねぎどん」と呼ばれているが、その理由は不明であるが、近世には陰陽師として祈祷、祭祀にかかわっていたことが確認された。
岡田は、神戸市立博物館所蔵の須弥山儀図、大阪・阿坂墓地内の「須弥界碑」、国会図書館の梵暦関係史料を調査し、必要な複写を行った。今後は大日本仏暦会社の実態を調べる予定である。10月に梅田は、国立歴史民俗博物館で吉川家文書を調査を行った。12月には梅田が宮内庁書陵部にて「晴親卿記」を閲覧・複写し、暦学・暦占書の出版と陰陽師組織についての資料収集を行った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今年度の達成としては、地方の陰陽師と暦学について、名田庄村暦会館が所蔵している谷川家文書、千葉県にある鳥海家文書、吉川家文書などを調査ができたことである。土御門家配下の陰陽師の具体的な活動、組織形態を知ることができた。また仏教天文学については、岡田が持続的な調査を継続した。とりわけ須弥山儀に関する関連史料を収集し、それに関しての発表も実施した。朝廷側の暦学の展開についても、「晴親卿記」を中心に梅田が調査して、幕府天文方との関連を明らかにすることに貢献できた。「研究の目的」に書いたが、十分には達成できなかったことは、渋川春海関連の史料を閲覧し、渋川春海年譜を改訂することである。幕府天文方については、林の論文「江戸幕府と陰陽道・暦道」、梅田の論文「近世の神道・陰陽道」によって明らかになった面は多々あるが、さらに制度史的な事実の掘り起こしが必要であろう。

Strategy for Future Research Activity

本研究課題は、暦学と暦の地方的な流通を解明し、近世の暦学史を書きかえることにある。平成26年度は名田庄村暦会館や千葉県の史料について調査をすることができたが、より遠方の地方の調査は必要である。たとえば仙台、薩摩の暦学と暦についてである。畿内周辺では土御門家の影響が直接にあり、関東では土御門家江戸役所、幕府天文方の影響を受けているが、より遠方の場合は、土御門家、幕府天文方との関わりは少なく、独自の暦法、暦製作を行っている可能性がある。むしろ藩権力との関わりが強くなると考えられるが、その点を確認してみたい。また渋川春海年譜の改訂を急ぎたい。国会図書館にある渡辺敏夫コレクションについては、岡田が断続的な調査を行っているが、林、梅田も参加して、渡辺コレクションの全体像を解明する作業も行うつもりである。

Causes of Carryover

次年度使用額が生じた理由としては、当初予定していた国会図書館渡辺敏夫コレクションの共同調査が実施されなかったことと、岡田による梵暦調査が調査先の都合で実施されなかったことがあったためである。

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度には、渡辺敏夫コレクションの共同調査を実施するつもりである。また暦学の専門家を招き研究会を実施する。

  • Research Products

    (5 results)

All 2014

All Journal Article (4 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] 「江戸幕府と陰陽道・暦道」2014

    • Author(s)
      林淳
    • Journal Title

      『シリーズ日本人と宗教』

      Volume: 1巻 Pages: 82-112

  • [Journal Article] 「近代的世界像と仏教―梵暦運動と須弥山儀」2014

    • Author(s)
      岡田正彦
    • Journal Title

      『シリーズ日本人と宗教』

      Volume: 2巻 Pages: 215-240

  • [Journal Article] 「近世の神道・陰陽道」2014

    • Author(s)
      梅田千尋
    • Journal Title

      『岩波講座 日本歴史 近世3』

      Volume: 3巻 Pages: 249-281

  • [Journal Article] 「近世本所の家伝と家職―「陰陽道」像の模索」2014

    • Author(s)
      梅田千尋
    • Journal Title

      『歴史評論』

      Volume: 771号 Pages: 51-62

  • [Presentation] 梵暦運動史の研究―19世紀の日本における仏教科学の展開2014

    • Author(s)
      岡田正彦
    • Organizer
      東洋大学国際哲学研究センター
    • Place of Presentation
      東洋大学
    • Year and Date
      2014-07-09 – 2014-07-09
    • Invited

URL: 

Published: 2016-05-27  

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