2015 Fiscal Year Research-status Report
脱国民国家の思想からオルター国民国家の思想へ 近現代日本のトランスナショナリズム
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26370085
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
芝崎 厚士 駒澤大学, グローバル・メディア・スタディーズ学部, 准教授 (10345069)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国際文化交流 / トランスナショナリズム / 箱根会議 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、第1に箱根会議関係の資料収集の継続と先行する諸研究の整理、第2に箱根会議関係者へのインタビューの実施と記録作成、第3に箱根会議の発案者の一人である秋尾晃正氏が函館で開始した「国際交流のつどい」に関する取材と資料収集と整理を主に行った。 第1の点については関係者より資料を収集し、データを整理して分析する作業を行った。80年代後半から90年代後半という比較的長い期間における一次資料や雑誌掲載資料を収集し、重要な情報を整理分析していった。 第2の点については、主要関係者である秋尾晃正氏、平野健一郎氏、阿部汎克氏と連絡を取り合いながら準備を進め、12月には三者が一堂に会した鼎談を行い記録を作成した。また、もう一方の関係者である伊藤憲宏氏にも聞き取り調査を行い、箱根会議をきっかけにして執筆した伊藤氏の一連の論考を復刻する作業にもとりかかっている。 第3の点については、秋尾氏のほか現在「つどい」を主宰している北海道国際交流センターの池田誠氏をはじめとする南北海道地域の関係者と連携を取りつつ取材を重ねている。 研究成果について、昨年度は学会報告の機会を模索したが、さまざまな事情から実現できなかった。平成28年度に入って、7月に国際文化学会において研究成果の一端を報告する予定である。また函館、札幌への取材も予定しており、平成28年度後半には国際文化学会以外の場を借りて研究報告、論文などでの研究成果の発表を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究自体はおおむね順調に進展している。ただし、研究成果を研究会や学会で報告し、業績を刊行することについては、別科研での研究成果の報告との兼ね合いもあり(学会では2年ルール、すなわち1度報告すると2年間は同一学会で報告できないという規定があるところが多いため)、学会報告の機会を得ることが難しかった点が予定外であった。 また私事になるが妻の出産の関係もあり、平成27年度12月ごろから2月にかけては十分な研究時間がとれず、史料の収集と整理を進めるのが精一杯となった点も、研究に多少の遅れが生じた点である。 ただし、方法論的な視座の確立や、最終的な研究成果の発表については、上記のような対談・鼎談を実現し、28年度以降に発表の機会を得る見通しがついたこともあり、その点では最終年度に向けた準備ができたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成28年度は、これまでに不足している部分の調査を進めると同時に、国内・海外において研究成果の一端を報告し、最終的には公刊するための準備を行う予定である。 国内に関しては7月の国際文化学会で部会セッションを持つことができたので、その準備が進んでいる。また、昨年度の鼎談・対談についても公刊する予定であり、以上の成果をもとにした研究論文も発表する計画である。最終的にはなんらかの助成を得て、書籍として出版することを計画に入れている。 海外についても、当該研究の重要性を理解している研究者達との研究に関する交流を進め、英語での論文執筆、研究発表、また当該研究と関連した海外での研究プロジェクトへの参加などに視野を向けていくための準備をする予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度は国内・海外出張の回数が少なく、また遠距離の出張が少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は国内・海外出張の予定があり、その経費に充足する予定である。
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