2014 Fiscal Year Research-status Report
東アジア翻訳語ネットワークとナショナルヒストリーの形成に関する思想史的研究
Project/Area Number |
26370089
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
桂島 宣弘 立命館大学, 文学部, 教授 (10161093)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 近代学術知 / ナショナルヒストリー / トランスナショナル・ヒストリー / 日本思想史学 / ポストコロニアル / 植民地朝鮮 / 国際研究者交流(韓国・中国) / 国際情報交換(韓国・中国) |
Outline of Annual Research Achievements |
前期は立命館大学で、また後期は学外研究で韓国高麗大学校日本研究センターに滞在し、東アジアにおける近代学術知の形成、相互認識の様相、東アジアにおけるナショナルヒストリ形成等について思想史的に解明する研究を行った。具体的には17~19世紀の「近世帝国」的相互認識の変容の様相を前提に、明治日本における近代的ナショナルヒストリーの形成が、東アジア、とりわけ植民地朝鮮において、どのような作用・影響を与えたのかを実証的に解明し、日本史学(日本思想史学)と朝鮮史学などの相互の関連を、ポストコロニアル問題と結びつけつつ分析した。これらの研究成果については、高麗大学校日本研究センター国際学術シンポジウム、漢陽大学校国際学術シンポジウム、韓国日語日文学会、2014年秋季国際学術大会、嘉泉大学校国際学術大会等で報告・講演した。また、これらの中の幾つかは論文として2015年度に公刊される予定である。 この他、課題に関わる史資料を、ソウル中央図書館、高麗大学校図書館等で収集・複写し、その読解・分析を行った。また、韓国高麗大学校・漢陽大学校、嘉泉大学校、淑明女子大学校、東西大学校等の研究者と課題に関わる意見交換を行った。 なお、立命館大学の東アジア思想文化研究会の例会を遠隔テレビ会議室方式で以下の通り実施し、立命館大学側の研究者とも意見交換も実施した。 2014/10/06,10/31,11/14,11/21,12/01,12/08,12/19
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
韓国滞在中であり、植民地朝鮮時代のナショナルヒストリーに関わる史料収集が容易であり、かつ多くの韓国側研究者と意見交換が可能な環境にある。また、数多くの韓国での学会・シンポジウムに参加し、報告・講演を行うことができたことは、研究を大いに進展させたと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、2015年度前期は学外研究で韓国高麗大学校滞在しつつ、「東アジアにおけるナショナルヒストリーの形成に関する思想史的研究」の植民地朝鮮部門の研究を継続する。昨年来の報告についての論文執筆も実施する。また、既にソウル大学校韓国宗教文化研究所、台湾政治大学で研究報告を実施することが決定しているので、当該テーマに関わる韓国・台湾側研究者との意見交換も行うこととしたい。2015年度後期には立命館大学に帰り、これまでの研究の中間的まとめを行うと共に、2016年度(最終年度)に向けて、とくに中国に関わる研究・史料収集について見通しをつける計画である。なお、東アジア思想文化研究会は、本研究の拠点となる研究会なので、引き続き定期的に遠隔テレビ会議室方式も用いながら定期的に開催していきたい。
|
Causes of Carryover |
本年度後期に韓国において学外研究を行うこととなり、当初予定していた複数の韓国側研究者の日本への招聘が不必要となったこと(韓国での協議・意見交換が可能となり、旅費等の出費が不必要となったこと)、及び韓国在住のため当初予定していた日本での物品の購入に支障が生じたことが、主要な理由である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は前期に中国・台湾側研究者と意見交換を実施することが決定しており、前年度の残額については、それに充当される計画である。また、未購入物品については、前期に韓国において購入する計画のものがあり、さらに後期に日本帰国後に速やかに物品を購入することで執行される予定である。 なお、この他の本年度分については、前期は中国天津南開大学での研究発表・意見交換、及びハルピンでの資料調査、及び後期は韓国側研究者の招聘と合同研究会・シンポジウム、海外研究者の原稿の翻訳料等を中心に執行する計画である。
|
Research Products
(7 results)