2014 Fiscal Year Research-status Report
インド音楽とペルシア音楽の交流―ヒンドゥスターニー音楽の形成過程に関する研究
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26370093
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
田中 多佳子 京都教育大学, 教育学部, 教授 (70346112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 正人 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20449622)
二宮 文子 青山学院大学, 文学部, 准教授 (40571550)
北田 信 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (60508513)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 北インド古典音楽 / ペルシア音楽 / 文化交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は計3回の研究会開催およびWeb上での議論を通じて、研究目的遂行のために各共同研究者が行う具体的取り組みの内容と、4年間の研究計画の方向性を確認すると共に、各々の研究経過報告と議論を重ねた。 北田は、国内在住のインド人音楽家のもとでサロード演奏の研鑽を積み、インタビューによって音楽実践に関する知見を得ながら、ペルシア語による19世紀末のシタール入門書『宴のすべて』、アミールホスローによる物語詩『ドゥワル・ラーニーとヒズル・ハーン』、トルコ語による論文「ヨーロッパ文明とトルコ・イスラム文明における音楽療法」などの音楽記述部分の試訳を行い、いくつかの論考を発表した。二宮は、南アジアのペルシア語によるスーフィー諸文献や宮廷関連文献から、音楽や音楽を用いた儀礼がどのように行われていたかを示す記述を抽出し試訳を試みた。さらに、北田・二宮は、大英図書館等の所蔵目録から本研究にとって重要と思われるペルシア語音楽文献のリストアップと収集の作業を進めた。谷は、ペルシア起源でインドにも広く普及している楽器「サントゥール」に関する独自の研究視点と課題についての考察を進め、具体的分析手順を明らかにした。 田中は、本研究の研究対象および情報源として重要な文献資料のデータベースと、文献試訳から得られた旋法名・リズム用語・楽器名ほか各種音楽用語のデータベースを作成し、補助員による情報の入力を開始させた。今年度は、文献データは約200件、音楽用語データは『リサーラ・イ・ラーガダルパン』などから約450件のデータ入力を行った。共同研究者全員が同じデータベース・ファイルの最新情報を共有し活用しながら、意見交換や各々の研究を行った。 さらに、次年度遂行予定の「イラン調査」に向けて、諸情報を整理し、課題を明らかにし、詳細な調査計画を立案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2度を予定していた研究会を3度開催することがかない、また、準備期間と考えていた初年度から、重要文献の和訳やデータベース入力作業を予想以上に進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
中東各国の不安定な政治的状況に鑑み、中央アジアおよびインド調査の時期や調査内容についても柔軟に見直しをはかり、可能なことは研究計画を前倒ししても推進していく。
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Causes of Carryover |
次年度イラン調査では円安の影響により当初計画よりも多額の出費が予想されるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度イラン調査における不足分の補填にあてる。
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Research Products
(2 results)