2014 Fiscal Year Research-status Report
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26370102
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Research Institution | Okinawa Prefectural University of Arts |
Principal Investigator |
高瀬 澄子 沖縄県立芸術大学, 音楽学部, 准教授 (60304565)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 日本音楽史 / 楽律学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の初年度に当たる2014年度は、(1)清代以前の中国で作られた律管の現存状況、(2)日本で作られた律管の現存状況、について調査した。 (1)については、2014年4月から9月まで、国立台北芸術大学音楽学院伝統音楽学系にて、訪問学者として研修を行い、中国語圏における律管に関する先行研究を収集した。その結果、少なくとも5点の律管の所蔵情報を確認することができた。そのうち、2点は考古学的な出土品であり、湖北省博物館と湖南省博物館に所蔵されている。残る3点は歴史的な伝来品であり、上海博物館、故宮博物院(北京)、中国歴史博物館(北京)に所蔵されている。故宮博物院(北京)の1点については万依「清宮律制及律管」(1986)、その他の4点については『中国音楽文物大系』(1996, 1999, 2006)に写真が掲載されているため、その時点まで現存したことは確かである。ただし、いずれも筆者は実見していない。 (2)については、これまで判明していた7点に加え、新たに2点の所蔵情報を確認することができた。この2点は、ピーボディ・エセックス博物館に所蔵されており、E. S. モース(1838-1925)によるコレクションの一部である。なお、同コレクションには、調子笛も1点所蔵されている。これらの所蔵情報は、茂手木潔子氏のご教示によるものである。 (1)の成果は、『沖縄県立芸術大学音楽学研究誌 ムーサ』第16号(2015年3月)に「現存する中国の律管」として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要の(1)については、おおむね順調に進展した。しかし、(2)については、あまり進展しなかった。その理由は、現在の日本語圏では、中国語圏の楽律学に相当する学問の伝統が十分に継承されていないため、律管の所蔵情報に関する確固たる手がかりを得ることが難しかったことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の通り、(1)日本の律管に関する現存状況の調査、(2)日本の律管に関する文献の探索と収集を行う。(1)については、(2)で収集した文献を手がかりとして、未確認の所蔵情報と現存状況を引き続き調査する。(2)については、林謙三(1899-1976)の先行研究を手がかりとして、恩徳院の律管に関する文献を集中的に収集する。また、(2)に関連して、新たな写本が見出された資料があるため、その写本の研究を重点的に行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、研究実績の概要の(2)があまり進展しなかったからである。所蔵情報の確固たる手がかりを得られなかったことにより、ほとんど資料を購入しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、可能性はあるが未確認の所蔵情報がいくつかあるので、それらに関する資料を購入することに充てたいと考えている。
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Research Products
(2 results)