2018 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of Japanese Ritsukan (Pitch Pipes)
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26370102
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Research Institution | Okinawa Prefectural University of Arts |
Principal Investigator |
高瀬 澄子 沖縄県立芸術大学, 音楽学部, 准教授 (60304565)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 日本音楽史 / 楽律学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30(2018)年度は、所在が明らかな日本の律管について、実地調査を行った。 京都府京都文化博物館(9月19日、2点)・国立歴史民俗博物館(10月31日、2点)・彦根城博物館(11月2日、1点)・宮内庁三の丸尚蔵館(12月3日、1点)の所蔵する合計6点の律管を熟覧し、管長・内径・外径の寸法を計測した。前年度に計測した石川県立美術館所蔵の律管(2017年5月1日、1点)の寸法と合わせた結果、これらの律管の寸法はおおむね似通っており、それぞれ著しく異なる音高を持つとは考えにくいことが明らかとなった。最長管はいずれも約14㎝であり、国立歴史民俗博物館所蔵の律管の音高に基づくと、ほぼDに相当する(2012年2月10日、「楽器は語る」展示プロジェクト)。5管の律管2点は、寸法や外見が極めて近似しており、両者の箱書きによれば、1800年代の宮中雅楽の音高を反映して作られた可能性が高い。12管の律管5点の管長を、田辺尚雄(1883-1984)による三分損益法およびその開口端補正の管長と比較すると、4点が三分損益法の管長、1点が開口端補正の管長と近いことが明らかとなったが、これらの律管が三分損益法に則って作られたかどうかは疑問である。研究成果は、東洋音楽学会東日本支部第107回定例研究会(2019年2月2日、共立女子大学)において、「現存する日本の律管の寸法」として口頭発表した。 上記の他、宮内庁書陵部、東京国立博物館、ピーボディ・エセックス博物館にて、律管に関連する資料の調査を行った。年度末には東京芸術大学にて研究協力者の前島美保氏と会合し、研究の総括を行った。 なお、前年度の研究成果は、高瀬澄子・前島美保「十二律『年次』的現蔵地点(律管『年次』の行方)」として『第十二届中日音楽比較国際学術検討会論文集』(仮題、上海音楽学院出版社)に投稿したが、未刊である。
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Research Products
(2 results)