2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26370108
|
Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
GILLAN Matthew 国際基督教大学, 教養学部, 上級准教授 (50468550)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 声 / 身体 / 琉球音楽 / 民族音楽学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は琉球列島で伝承される音楽における「声意識」(voice consciousness)を考察し、音源、文献、又は演奏者とのインタビューを通して、その発声法の社会的な意味を明らかにすることを目的としている。27年度の研究調査では、沖縄本島(6月、8月)や奄美大島(3月)での調査を行った。調査内容は次の要素を中心に行った: 1)組踊の唱えの発声法。26年度で行ったインタビューに引き続き、組踊の唱えについて実演家からの情報提供をしてもらい、録音、録画を撮らせてもらった。本研究の成果の一部を、2016年4月、英国Kent大学で行ったBritish Forum for Ethnomusicologyの大会で発表した。 2)声の伝承。沖縄の歌三線(いわゆる古典音楽も民謡を含む)において、発声法や声の音色がどのように認識され、伝承され、または変容してきたのかを考察した。主なデータとして、26年度の調査に引き続き、27年度で現在活躍している演奏者、ブロードキャスターやプロデューサーとのインタビューを行い、それを文字おこしした。また、インタビュー内容をもとに、27年6月に行った沖縄文化協会の大会で発表した。 3)沖縄芝居の発声法。琉球大学に琉球言語で上演される「沖縄芝居」の音源資料を拝見、拝聴してもらい、また、6月、8月に行った調査で芝居役者や地謡とのインタビューを行い、沖縄芝居での発声法(特にツラネについて情報提供や実演をしてもらった)。 4)奄美での裏声についての調査。奄美大島の民謡の特徴の一つに、裏声が広く使われていることが指摘されているが、裏声の歴史的な変容、伝承法、社会的な意味についての研究は未だに少ない。3月に奄美大島でインタビューや録音を行い、28年度にこの研究をさらに発展させる予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は概ね順調に進展している。27年度に本研究の成果を3回とも学会で発表し、さらに28年度4月にも英国での学会で発表した。それぞれの学会でしてもらった助言や指摘をもとに、本年度に研究成果を論文として学会誌に投稿する予定である。26年度、27年度では研究データを収集することに専念していたので、28年度の主な目的は、それぞれのインフォーマントからフィードバックをしてもらい、研究論文の最終版を作成することである。
|
Strategy for Future Research Activity |
28年度の研究調査や学会発表は次のとおり計画している: 1)九州の念仏踊りにおける裏声の調査。八重山(26年度)や奄美(27年度)での裏声についての調査に引き続き、九州の西海岸で行なわれている念仏踊りにおける裏声の使い方を、比較研究として行う予定である。8月に五島列島を訪ね、聞き取り調査を行う予定である。 2)台湾での学会発表。8月25日ー27日に中央研究院(台北)で開催される5th Symposium of the ICTM Study Group on Musics of East Asiaで研究発表し、フィードバックしてもらう予定である。 3)沖縄への調査(11月)。今までの調査内容、書き上げた論文をインフォーマントに紹介し、内容を確認してもらう。
|
Causes of Carryover |
27年度にする予定であった海外出張(カザフスタンでの学会)は、沖縄でのフィールドワークの都合でキャンセルしたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度8月の学会(台湾)で旅費を使用する予定である。
|