2017 Fiscal Year Annual Research Report
Solo pieces for lute _biwa_ in old notations: 'Reproducing' a lost performance practice
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26370112
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 楽琵琶 / 古楽譜 / 唐楽 / 復元 / 三秘曲 / 国際研究者交流 / 中国 |
Outline of Annual Research Achievements |
引き続き古楽譜に見られる琵琶独奏曲(「撥合」[かきあわせ]と秘曲を含む「手」の2種)について、形式・調性の音楽的特徴を明らかにし、さらにリズム・テンポ・奏法等の解明を試みた。結果をふまえ、楽琵琶奏者、中村かほる氏協力のもと、2017年9月、第12回中日音楽比較シンポジウム(上海音楽学院)での研究成果の報告・実演のほか、2018年3月、千駄ヶ谷ビクタースタジオにて琵琶独奏曲の調査報告用録音を行なった。 明らかになった点は以下の通り。1.「撥合」と「手」の形式的特徴:「撥合」には同音反復を含むフレーズが多く、「撥合」という名称がその特徴に由来する。一方、「手」には多くの場合、旋律の反復とそれによる展開がある。2.「撥合」と「手」における調性:「撥合」には日本化した「律・呂」の調理論による音階が用いられるのに対して、「手」には唐の調理論に忠実な曲と、転調・転均により調性が揺れる曲とがある。3.基本奏法やテンポ:13世紀初頭成立の琵琶師伝集『胡琴教録』、楽書『知国秘鈔』(藤原孝道著)及び楽譜『三五中録』(孝道の子息、藤原孝時撰)における注記を読み合わせることによって、これらの点についてある程度類推が可能で、復元試演の実証性を上げることが可能。 録音した曲目は次の通り。1.正倉院文書紙背琵琶譜(いわゆる『天平琵琶譜』;現行より4度高い琵琶黄鐘調):01冒頭部分;02「調」以下の部分;03「調」以下の欠落部分を推定し全体を復元したもの。2.『三五要録』巻二の琵琶独奏曲(『三五中録』・『知国秘抄』も参照):a(琵琶風香調)04撥合 05二手 丘泉 06大常博士楊真操;b(琵琶返風香調)07撥合 08一手 丘泉 09三手 番仮宗 10又弾 11石上流泉 12上原石上流泉 13将律音;c(琵琶黄鐘調)14撥合 15一手 16二手;d(琵琶啄木調)17啄木。
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Research Products
(2 results)