2014 Fiscal Year Research-status Report
万博に見る芸術の政治性-紀元2600年博の考察と国際比較を中心に
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26370118
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
暮沢 剛巳 東京工科大学, デザイン学部, 准教授 (80591007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江藤 光紀 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 准教授 (10348451)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 芸術諸学 / 万博 / 紀元2600年万博 / 前衛芸術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の概要は以下のようなものである。1940年に開催が計画されながら実現されなかった紀元2600年記念万国博覧会(以下紀元2600年万博)について、主に芸術の政治性という観点から考察するため、必要な調査や資料の収集を行う。次いで、紀元2600年万博を国際的文脈に位置付けるために、同時期に開催が計画されながらやはり実現されなかったローマ万博やベルリン万博の計画について考察する。 3年計画の初年度であった本年は、研究テーマの絞り込みからスタートした。結果的に実現されなかった事業を対象としているため研究テーマの設定は難航したが、資料の収集を進め、またフランスおよびドイツでの現地調査を行った結果、現時点では10程度にまで絞り込むことができた。また本研究では、研究代表者である暮沢と研究分担者である江藤の2名に加えて、連携研究者としてフランスの万博研究を専門とする寺本敬子に参加してもらうことにより研究体制の充実を図ることとした。 なお本研究は、暮沢と江藤が2011年度から2014年度にかけて行った前研究「大阪万博における前衛芸術―考察と国際比較を中心に」を引き継ぐ形で構想されたものである。前研究は昨年度に『大阪万博が演出した未来』という書籍にまとめて研究成果を発表したが、本研究も同様に、逐次発表した論文をまとめて書籍化して、最終的な研究成果の報告とする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に当たる今年は、暮沢と江藤でフランスおよびドイツの海外調査を実施し、1937年のパリ万博、1936年のベルリンオリンピック、1937年のナチス党大会など、実現されなかったベルリン万博を類推するために重要な国際行事に関連する調査を実施し、資料を収集することができた。また暮沢からの委託を受け、連携研究者の寺本も同様の目的に基づくフランスでの海外調査を実施した。また本研究でも、青弓社の理解を得て、定期的に研究成果を発表する場を確保することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度のフランス、ドイツの現地調査に引き続き、27年度は暮沢、江藤の2名によるイタリアの現地調査を計画している。折しも、27年はミラノ万国博覧会が開催されるため、第2次世界大戦中の万博計画と現在の万博の対比という視点を盛り込む方針である。イタリア調査に当たっては、イタリア研究を専門とする研究協力者の助力を仰ぐ予定である。また27年度から、研究成果を順次発表していく方針であり、既にいくつかの論文執筆や口頭発表が予定されている。
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Causes of Carryover |
海外調査の実施時期や滞在期間の関係で、当初の予定ほど調査費用がかからなかったことに加え、本格的な研究成果の発表が27年度以降となった関係で、資料の購入を控えたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度はイタリアでの現地調査を予定しているため、その調査費が主な研究費の使用用途となる。本調査には研究協力者への同行を求める計画であり、その出張費は研究代表者である暮沢の研究費から捻出する予定である。その他国内調査や、研究成果を発表するに当たって必要な資料の購入も進めていく。
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