2014 Fiscal Year Research-status Report
コッラード・ヴィーニの公共彫刻-政治史的・文化史的解読とカタログ・レゾネ作成
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26370123
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
甲斐 教行 茨城大学, 教育学部, 教授 (60323193)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 彫刻 / ファシズム / フィレンツェ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度には、7月12日から9月21日、3月14日から4月4日までの二回の海外出張を中心に研究を進展させた。 特に生前のヴィーニと親交が深かったフランチェスコ・バリオーニ氏の子孫の方々が所有する多数の石膏習作とヴィーニの公共彫刻との関連をこの数年調査してきたなかで、最後まで懸案であった、中部イタリアのトスカーナ州モンテカティーニ・テルメのテットゥッチョ浴場を飾る四点の女性擬人像、ウンブリア州テルニ大聖堂ファサードを飾る八点の聖人像、同大聖堂広場の噴水彫刻について最終的な撮影調査を実施した。またテルニ大聖堂のドン・カルロ・ロマーニ神父、ジュゼッペ・カシオ博士に同聖堂の歴史や関連文献に関する教示を受けた。 またヴィーニが北イタリアロンバルディーア州ブレッシャのアドリア海保険連合会館ファサードに浮彫装飾《聖マルコの象徴としての獅子》を設置した件に関連して、同会館が位置するヴィットーリア広場(ファシズム期を代表する建築家マルチェッロ・ピアチェンティーニが計画したファシズム期建築の宝庫)の撮影調査と、ブレッシャの個人邸から建設開始当初の貴重な写真の提供を受けた。この成果はカタログ・レゾネの記述に反映される。 前述したバリオーニ氏の子孫邸をも数度訪問し、習作の撮影調査、フィレンツェの歴史的状況について教示を受け、意見交換を行った。またフィレンツェ大学名誉教授カルロ・デル・ブラーヴォ氏にも数度にわたり指導を受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヴィーニの公共彫刻のカタログ作成を開始できた点と、そのうちモンテカティーニ・テルメのテットゥッチョ浴場を飾る四点の女性擬人像、テルニ大聖堂ファサードを飾る八点の聖人像、同大聖堂広場の噴水彫刻についての調査報告を日本語・イタリア語併記で起草し、年度末に勤務先である茨城大学の五浦美術文化研究所紀要『五浦論叢』に投稿できた点で、おおむね順調に進展していると判断できる。同報告は査読の結果、掲載が内定している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、ヴィーニの公共彫刻のカタログ原案を未完成ながら作成中である。今後も年二回以上のイタリア渡航による海外出張を行い、現地に立ち返って撮影調査を繰り返し実施しつつ、具体的な観察による知見、素材・寸法等のデータ、基本文献を追加していく。平成27年末にはカタログの前半部分を勤務先である茨城大学の五浦美術文化研究所紀要『五浦論叢』に投稿、最終年度である平成28年末にはカタログの後半部分を同紀要に投稿し、成果発表をめざしたい。その際、最小限度の欧文による記載をも加えたい。
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Research Products
(1 results)