2014 Fiscal Year Research-status Report
バーナード・ベレンソンと矢代幸雄の往復書簡に関する研究
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26370128
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
越川 倫明 東京藝術大学, 美術学部, 教授 (60178259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山梨 絵美子 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, その他部局等, その他 (30170575)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 西洋美術史 / 日本近代美術史学史 / イタリア・ルネサンス美術 / 東洋美術 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度の研究計画は、研究対象であるバーナード・ベレンソンおよび矢代幸雄の書簡の基礎調査および画像収集、英文の書き起こしがテーマであった。神奈川県立近代美術館寄託のベレンソン書簡については、7月に調査を行ない、全書簡の画像収集および調査を完了した。フィレンツェ、ヴィッラ・イ・タッティ(ハーヴァード大学付属ルネサンス研究所)に所蔵される矢代書簡については、11月に調査旅行を実施し、書簡の調査を完了した。画像収集については、先方の文書管理室に画像作成を依頼し、近く入手の予定である。これらの調査を基盤に、全書簡の英文書き起こしを2月に完了した。特に重要な調査ポイントは、しばしば年代の記されていない矢代書簡につき、内容検討に基づいて年代を特定する作業であったが、この点もほぼ完全に結論を得ることができた。 11月の調査時に、共同研究の相手であるヴィッラ・イ・タッティより、本調査の成果である往復書簡を、平成27年内に同研究所のウェブサイト上で、「オンライン資料展」として公開する提案を受け、その準備を進めている。当初このような公開は研究期間終了後に行なう予定であったが、この提案により、本研究の研究成果の一部が同展覧会を通じて早くも国際的に発信されることになった。同展覧会のための準備として、上記の書簡の書き起こしに加えて、往復書簡に登場する多数の人物を特定し、その略歴を一覧にまとめる作業を完了した。また、ヴィッラ・イ・タッティ側は矢代幸雄の自伝「私の美術遍歴」の部分的英訳を進めており、そのための協力(著作権に関する交渉および翻訳のチェック)も行なった。同展は、駐日米国大使館の後援を得て27年6月末頃に公開される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記の概要に記したように、共同研究相手であるヴィッラ・イ・タッティの提案を受け、研究成果の公開を大きく前倒しして、英文ベースでは平成27年6月までにまとめることとなった。そのための準備を急ピッチで進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
英文ベースによる往復書簡の公開は、平成27年度6月(予定)までにヴィッラ・イ・タッティのウェブサイト上で行なう。これを基盤とし、27年度以降は、(1)書簡の和訳作業を進め、同時に書簡の内容に関わる文脈的な調査を進める。(2)書簡をグループにわけ、調査内容を盛り込んだかたちで順次刊行する(東京文化財研究所の研究紀要「美術研究」を予定。(3)平成28年2月に、関連する研究者を招いて小シンポジウムを開催する(於東京文化財研究所)。 同時に、往復書簡の内容検討をもとにして、ベレンソンおよび矢代の方法論的位置づけに関する考察を行ない、論文としてまとめる準備を行なっていく。
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Research Products
(3 results)