2017 Fiscal Year Annual Research Report
Rarity, Curiosity, and Novelty: The Diversification of Painting Forms in Northern Mannerism
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26370132
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平川 佳世 京都大学, 文学研究科, 教授 (10340762)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 美術史 / 芸術諸学 / マニエリスム / 北方ヨーロッパ / 珍品室 / 油彩画 / タブロー / 特殊絵画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、16世紀後半から17世紀にかけて北方ヨーロッパで流行した、石板や金属板、高価な布材などに描かれた特殊絵画について包括的な研究を行い、新たな絵画のあり方を模索した北方マニエリスム特有の文化現象として位置付けることを目的としたものである。当初は、平成26年度から平成28年度までの3年間の予定であったが、各種機器備品を丁寧に使用した結果、当初計画していた予算よりも少ない金額で研究を十分に遂行することができた。そこで、予算をさらに有効に活用すべく、補助期間を1年間延長して、追加調査や成果発表にむけた準備を行い、補助事業目的のより高度な達成を目指すことにしたのである。 これを受けて、改めて最終年度となった平成29年度には、主として、関連領域の最新の研究動向の確認と国内の美術館の所蔵・展示作品の実見調査、および、英文著作出版へむけての研究成果の整理を行った。これらに加えて、すでに英語論文にて成果公表を行った研究内容の一部をさらに充実させて、日本語での論考にまとめる試みにも着手した。すなわち、支持体を操作することで斬新な絵画表現を目指した先駆的な作品であることが明らかとなったデューラー作《悲しみの人》(カールスルーエ、クンストハレ所蔵)については、すでに英語論文によってその成果を公表していたが、それをさらに同時代の祈念画制作というより広い文化的文脈のなかで論じた日本語の論文を執筆したのである。今後も、日本語および英語での成果発表を通じて、国内外に向けて科学研究費補助事業の成果還元を積極的かつバランスよく目指したい。
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