2014 Fiscal Year Research-status Report
東南アジアにおける美術史学の成立に関する基礎的研究
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26370137
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後小路 雅弘 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 教授 (50359931)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国際情報交換 シンガポール / 植民地博覧会 / シンガポール国立博物館アートギャラリー / 美術史 / 美術展覧会 |
Outline of Annual Research Achievements |
①タイの代表的な美術史家であるソンポーン・ロドブーン氏にインタビューを行い、美術史に関わる個人史の解明とタイにおける美術史形成に関わる文献の調査と収集を行った。 ②インドネシアの代表的な美術史家・キュレーターであるジム・スパンカット氏へのインタビューを行い、資料の収集を行った。 ③シンガポールにおける初期のキュレーターである元国立博物館アート・ギャラリーのキュレーターであるチョイ・ウェンヤン氏、同コンスタンス・シアーズ氏にインタビューを行い、国立博物館アート・ギャラリーにおける活動がシンガポール美術史の形成に果たした役割について聞くとともに、初期のキュレーターたちの個人史について解明をはかった。また、コウ・グエンハウ氏所蔵のシンガポール美術史に関わる資料を調査し、必要な資料の複写を行った。さらに、シンガポールおよび東南アジアの美術史形成に関して、国立ギャラリーの堀川理沙主任学芸員、セン・ユージン学芸員と協議した。 ④調査の過程で、植民地における宗主国側の植民地政策が美術史形成に果たした役割の解明が重要であることを認識したため、フランスを調査し、インドシナとりわけベトナム美術史の形成に関わる作品を実見し、文献資料を調査した。とくにフランス在住のベトナム人収集家の所蔵する大量の資料を調査し、重要な資料の複写を行った。ベトナム美術史の形成にとって1931年のパリ植民地博覧会が重要であることがわかり、同博覧会の資料に重点をおいて収集することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予定していた東南アジアにおける美術史研究の現場で活躍してきた人物へのインタビューをおおむね順調に行うことができた。当初の具体的な計画として認識していなかった植民地宗主国への調査を行い、植民地政策が東南アジアの美術史研究に果たした役割について解明する資料を収集することができた。この点に関しては、研究の当初の目的に、別の角度からの考察を与えることになり、より深く研究を進展させていく材料を得ることができた点は評価できると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当初の予定にしたがって、東南アジアのパイオニア世代の美術史家へのインタビューを行う。来年度はフィリピンに重点を置くとともに、シンガポールに国立ギャラリーが開館し、東南アジア近代美術史の概要が示されるので、それを調査するとともに、関係者と協議する。また、植民地宗主国としてインドネシアを統治したオランダの植民地政策を調査するためオランダ調査を行う。
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Research Products
(2 results)