2016 Fiscal Year Annual Research Report
The establishment of the crafts section and the argument on Folk in the Korean Art Exhibitions
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26370143
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Research Institution | Yamanashi Eiwa College |
Principal Investigator |
李 尚珍 山梨英和大学, 人間文化学部, 准教授 (00515348)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 朝鮮美術展覧会 / 郷土性 / 日本留学 / 在朝鮮日本人 / 美術 / 近代化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度の研究実績は、本研究テーマの「朝鮮美術展覧会と郷土性」の関連性について1920年代を中心に一次資料の分析を進めたことである。 「郷土」概念は、19世紀末のドイツに由来する概念で、1900年代の日本の文壇を経て、日本留学で近代西洋文化を学び、帰国した朝鮮の若者らによって朝鮮に伝えられた。そして、彼らは、1920年代の文学・美術活動を通して社会と民衆に対して朝鮮の「個性」と「固有性」を意識・尊重するメッセージを広めていった。それは、彼らが西洋文化に触れることによって新しい情報や作風に影響を受け、自国「朝鮮」について、制作者として自己の表現方法の確立を図っていたから実現できたことである。 その中、1922年に朝鮮美展が開催されることによって、近代文化の領域に美術が明確に位置づけられることとなった。例えば、羅蕙錫、金周経、洪得順らの活動によって、伝統的画題としての「郷土」から他者に影響されずに変わらない・変えられない「生の主体」=固有性・主体性が美術として確立されて行った。 1920年代は朝鮮美展の作品において、抽象的表現ではなく、自然や風景を具体的に描写するリアリズムによって「郷土」概念が表現され、西洋画受容の混乱期を乗り越えて純粋な芸術領域の美術論として定着した時代であり、朝鮮の郷土に固有の美術文化・美術様式を創り上げた時代であった。そして、1932年に「工芸部」が新設され、郷土=地方・前近代性という概念によって薄色されるまで、朝鮮美展の初期は「郷土」=朝鮮の個性・固有性の概念が認められ、朝鮮における純粋美術が発展していく可能性が潜在していたと言える。
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Research Products
(5 results)