2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26370148
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Research Institution | Independent Administrative Institution National Institutes for Cultural Heritage Tokyo National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
小林 達朗 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化財情報資料部, 室長 (10342940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江村 知子 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化遺産国際協力センター, 主任研究員 (20350382)
城野 誠冶 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化財情報資料部, 専門職員 (70470028)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 平安仏画 / 截金 |
Outline of Annual Research Achievements |
東京国立博物館所蔵の平安仏画を中心に従来の写真や公開されている一部のデジタル画像および肉眼観察でさえ見ることの不可能な部分を高精細画像の撮影の撮影によってとらえ、美術史的観点から研究する。 現在、いずれも国宝の虚空蔵菩薩像、普賢菩薩像、千手観音像、孔雀明王像および重要文化財の准胝観音像の高精細画像を撮影した。これらからは、特に金銀箔の使用について、色味の異なるものを使用していること、また、下地との関係、さらには従来知られることのなかった金銀箔の上から彩色を行うという手法をとっているものがあることが判明し、従来の平安仏画の截金の使用による「平面的」との評価について、必ずしもこれがあたらないことなどを指摘することができた。 また、従来、裏から金箔をはっている(裏箔)とみられていたものが、表からのものであること、この上に彩色がなされていること等、素材と技法の細部についてさまざまな知見を得ることができた。 また、従来頻繁に使用されてきた「装飾的」という言質についても考察をおこない、「荘厳」という語からあらたに見ることが必要であることなども論文上で指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のとおりいずれも国宝の虚空蔵菩薩像、普賢菩薩像、千手観音像、孔雀明王像および重要文化財の准胝観音像の高精細画像の部分図の撮影に加え、普賢菩薩像、准胝観音像については全画面の高精細による分割画像の撮影も加えておこなうことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
上記5件の平安仏画につき、従来の高精細カラー画像の部分撮影に加え、東京国立博物館と共同研究の体制を組み、全画面の高精細カラー画像、近赤外線画像、蛍光画像、顔料の蛍光X線分析、透過X線画像の各種光学的手法を用いて、さらなる視点からの調査を行い、これらを総合して、美術史的観点からの研究を行いたい。
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Causes of Carryover |
所有者との日程的都合がつかず、未撮影の部分が生じた。また、カラー高精細部分図からさらに広げた各種光学調査を行いたい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
東京国立博物館所蔵の平安仏画5件について、全図のカラー分割画像、近赤外線画像、蛍光画像、蛍光X線分析などを行いたい。
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