2016 Fiscal Year Annual Research Report
Basic research on kuge painters, focused on the middle-to-late Edo Period
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26370152
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Research Institution | 公益財団法人大阪市博物館協会(大阪文化財研究所、大阪歴史博物館、大阪市立美術館、大阪市立東洋陶磁美術 |
Principal Investigator |
岩佐 伸一 公益財団法人大阪市博物館協会(大阪文化財研究所、大阪歴史博物館、大阪市立美術館、, 大阪歴史博物館, 学芸員 (70393288)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 絵画史 / 日本 / 公家 / 江戸時代 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も引き続き作例の調査と文献の検索を行った。その結果、新たに約50点の公家の手になる作品を確認した。そのうちには花山院常雅(1700~1771)、持明院基時(1635~1704)ら、これまで作品が紹介されたことのなかった公家について、画業がはじめて確認できた例も複数含まれる。これらの作例確認により、公家が手掛けた作風が狩野派に類する漢画、土佐派に近いやまと絵のみならず、当時流行していた南蘋派や円山派や四条派にも及んでいたことが明らかとなった。 本年度は特に江戸時代の公家で作画を良くした慈光寺実仲(1787~1861)に着目し、その画歴や画風の変遷、解析を行った。公家としての家格は半家であり、堂上家の中では下位であるものの、他の絵画制作を手掛けた同時代の公家のなかでは抜きん出て現存作例が多く確認できた。それらの作品には、岸駒様式の虎図、四条派-特に景文-に親しい表現を採る水月図、桜町天皇や霊元天皇らが手掛けた作例に近似した雷鳥図、近侍した皇親の肖像画など多岐にわたる作風・作品を残しており、職業画家に迫るほどの幅広い活動を確認することができた。 文献では、昨年度に引き続き大名家に収蔵されていた作例を知り得た。井伊直亮著『懸物記』(彦根城博物館蔵)には、「本九拾九番〔以上朱書〕一 白梅ニ月の画 高辻大納言殿筆一幅横」との記載があり、大名家での作品享受が確認できた。公家の手になる絵画の受容状況については、前年度確認の松平定信と本事例以外には明確にはできず、今後の課題としたい。
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Research Products
(1 results)