2014 Fiscal Year Research-status Report
日本文学作品とその映像化に関する文化的考察―川端康成の作品を手がかりに
Project/Area Number |
26370173
|
Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
福田 淳子 昭和女子大学, 人間社会学部, 准教授 (70218923)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 文芸映画 / 表象文化論 / 国際文化交流 / 日本文学 / 日本文化 / フランス / ドイツ / オーストラリア |
Outline of Annual Research Achievements |
川端康成の映像化作品を手掛かりに、国内外での日本文学作品を原作とする映画化作品を比較検討し、文化的事象がどのように捉えられているかを把握し、日本文学作品の映像化の意義を考察することを目的としている。平成26年度研究実施計画に基づき、国内・国外において調査を実施した。 国内では、8月7日から9日まで京都に出張し、7日は東映京都スタジオ映画文化館の展示室、8日は映画資料室において川端康成原作映画に関する所蔵資料(スチール写真・ポスター・プレスシート・台本・関連図書・ビデオ等)の調査を行い、リストを作成した。プレスシート・チラシ・ポスターなど、可能な範囲で複写をお願いした。9日は、京都府が推進するフィルムライブラリー事業を行う京都文化博物館において収蔵フィルムについて調査した。 国外では、9月16日から10月30日まで開催された川端康成に関する一連の行事(展覧会・国際シンポジウム・講演会・映画上映会)に関する調査およびパリにおける日本文学を原作とした映画調査のため、2度パリに出張した。9月8日から22日まで、パリ日本文化会館での川端康成展の調査、川端康成国際シンポジウム・記念講演会への出席、Cinematheque Francaiseでの資料調査、パリ市内の資料館・映画館等の調査を行った。また、10月22日から25日まで、パリ日本文化会館において開催された川端原作映画上映会および同館において開催されたラウンドテーブル「川端康成作品の映画化をめぐって」に出席した。 海外において一人の作家に限った行事が長期間に亘って開催されるのは今回が初めてであり、大変重要な意味を持つ調査の機会であった。写真撮影やアンケート調査、インタビュー等、今後の考察の準備をすることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「二〇一四年、パリでの川端康成展・国際シンポジウム・川端康成原作映画上映会など」(『川端文学への視界 30』(銀の鈴社、2015・6予定))と題して、パリでの川端康成に関する一連の行事内容を紹介し、報告としてまとめることができた。しかし、同じパリ日本文化会館で実施したアンケート調査の分析結果の公表にまでは至らなかった。貴重な調査機会の結果報告として、分析には慎重を期したい。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度のパリでの調査報告はまとめることができたが、アンケート分析に基づく論文執筆までには至らなかった。平成27年度はパリでのアンケート調査の分析を優先し、研究報告としてまとめたい。その他の調査結果に基づき、引き続き国内外の映像関係資料の所蔵リストを作成し、分析・考察する上で必要な文献資料を充実させていく必要がある。 また、研究論文執筆のために、映像史や文学史に加えて社会や文化についての考察、原作の小説や映画化作品の映像分析等も具体的に進めていく。
|
Causes of Carryover |
平成26年度の研究実施計画の予定どおり、9月16日からパリで開催された川端康成展に合わせて出張した。展覧会に加え、国際シンポジウム・記念講演会・映画上映が同時に開催され、10月31日までの長期間に亘った。当初は1回の出張予定だったが、9月16日・17日の国際シンポジウムと記念講演会の期間と、10月以降の映画上映・映画関連シンポジウム期間の、2回に亘る出張が研究遂行のために必要となった。展示用と映画上映に関する2種類のアンケートを作成して調査を実施、アンケートの仏語での記入内容の翻訳が必要となり、翻訳のアルバイトを依頼した。また、Cinematheque Francaiseでの調査、パリ市内の資料館・映画館等の調査も実施した。その他、9月には東映京都スタジオ映画村映画資料室での調査も実施した。 以上のことから平成26年度の予算額を超過したため、前倒し支払い請求を申請し、表記の残高となった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度に実施したパリや東京、京都での調査結果をまとめることや、国内での調査(首都圏)を中心に行い、旅費・資料複写代・書籍購入代、監督へのインタビューが実施できればその謝金等にあてる。予算に不足が生じた場合は、次年度の前倒し支払い請求を申請する予定である。
|
Research Products
(1 results)